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60セカンズのRのネタバレレビュー・内容・結末

60セカンズ(2000年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2000年のアメリカの作品。

監督は「ソードフィッシュ」のドミニク・セナ。

あらすじ

かつて、超高級車の窃盗だったメンフィス(ニコラス・ケイジ「ガンズ・アンド・キラーズ」)は今は窃盗から足を洗い、地元を離れてピットクルーとして生活していた。ある日、メンフィスの元を訪れた昔の仲間アトレー(ウィル・パットン「ハロウィン THE END」)からメンフィスの弟キップ(ジョヴァンニ・リビシ「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」)が兄と同じ窃盗の仕事でミスをして、依頼元の窃盗組織を怒らせ、命の危機が迫っていることを知らされる。メンフィスは地元に戻り、組織のボスのカリートリー(クリストファー・エクルストン「やっぱり契約破棄していいですか?」)と話をつけようとするが、カリートリーはキップのいのちと引き換えに50台の高級車を4日後の午前8時までに盗めと条件を突きつける。そこで、メンフィスはかつての仲間たちを集め、達成不可能な窃盗計画を企てる!!

ディズニープラスにて、無作為に選んだ中から。

最近のニコラス・ケイジはかつての借金地獄で、NGなしでめちゃくちゃ低予算の作品に出まくって、その結果キャリアの低迷に陥っていたわけだが、そこから地道に活動を続けてきた結果なのか、徐々に質の高いジャンル映画にチラホラと出てきて、そして今年はニコラス・ケイジという俳優本人をメタ的に扱った主演作「マッシヴ・タレント」の公開と復活の兆しを見せ始めている!今後もケイジがドラキュラに扮するアダム・マッケイ監督作「Renfield(原題)」だったり、時期は未定だが、あのアリ・アスタープロデュースでA24製作の主演作も待機中という、うーんなんというか息の長いというか、しぶとい笑俳優さんだ。

で、そんなケイジ主演の2000年の主演作。これ、当時映画館のチラシ集めをしていた時に手に取って未だにファイリングしてたやつだなぁ。まさか数十年越しに配信で見ることになるとは。

お話はあらすじの通り、他の皆さんがおっしゃられている通り、「ワイスピ」ノリのカーアクション映画。

もちろんヴィン・ディーゼルやステイサムやロック様は出てこないけど、その代わりにヒロインにアンジェリーナ・ジョリー(「エターナルズ」)、ケイジ演じるメンフィスのかつての仲間にヴィニー・ジョーンズ(「Mr.&Ms.ストレンジ」)やロバート・デュヴァル(「ほの蒼き瞳」)が出てたりする。

で、ワイスピと同じく、盗みを通して達成不可能なミッション的なものに挑むところで共通する部分があって、今作においては超高級車50台を4日後までに集めろ!ってことなんだけど、ぶっちゃけその流れ自体は割とあっさり「最後の一台」までトントンといっちゃう。

じゃあ、ワイスピフォロワーのトホホなカーアクションかと思ったら、そんなことはなくて、その代わりに、ここもワイスピと共通するんだけど、「ケイパーもの」としての面白みがめちゃくちゃある!!

メンフィスはそのミッションに挑むため、かつての仲間を集めて、その中には上記の作戦本部司令ポジのデュヴァル演じるオットー、ヴィニー・ジョーンズ演じる劇中「ほとんど」喋らず、何をしでかすかわからない寡黙な狂犬ポジのスフィンクス、アンジー演じるスウェイ、コメディリリーフポジのドニー(シャイ・マクブライド「ドラフト・デイ」)がいたりするんだけど、そこにメンフィスの目の上のたんこぶ的なトラブルメーカーの弟キップとその仲間たちが加わっちゃう。

で、その仲間たちが割とモブ感強くてエトセトラ感があって、こいつはリタイア要員かなーなんて思って観ていると、メンフィスの仲間たちとも割と良いグルーヴ感を出してくるから面白い。作戦時は新旧の仲間たちがそれぞれツーマンセルで車を盗むことになるんだけど、特にT・J・クロス(「ショウタイム」)演じるミラーマンっていう、一番イロモノなやつが正反対のスフィンクスと組んでの凸凹コンビを組んでの「ヘビ」のくだりとか楽しいし、ハッカー担当のトビー(ウィリアム・リー・スコット「マグニフィニセント・セブン」)が「俺も同行したい!」と無理矢理窃盗に一緒に行って、追ってきた警察の銃弾に被弾しちゃうなど、経験浅めな分引っ掻き回す役所も担っていて、それによって物語も展開していくので、なんだかんだ割と良い働きしてくれるので、だんだんと好きになってきちゃう。

特に一番ペーペーのフレブ(ジェームズ・デュヴァル「リベンジ・プラン」)が勝手にチャイナタウンで車を盗んできてしまって、中にヘロインがたくさん詰まっていることがわかったところに、メンフィスを追う刑事のキャッスルベック(デルロイ・リンドー「ザ ・ハーダー・ゼイ・フォール 報復の荒野」)が様子探りにきちゃって、オットーが起点を利かせて、そのヘロインをごまかすくだりとか、みんな楽しそうでめちゃくちゃ笑ってしまった。

そんな感じでチームのメンバーが多い割にはめちゃくちゃキャラ立ってて面白いんだけど、もちろんケイジとアンジーも良い!!

アンジーはいつもの黒髪の代わりに今作では金髪ドレッドというなかなか斬新なヘアースタイルで演じているんだけど、やはりセクシーさは健在!特にメンフィスを逃すために自ら運転する車で刑事たちの車を遮った際に見せる片目ウィンクでのキッスの破壊力半端ねー!!

そして、メンフィス演じるケイジも、もちろん超絶ドライブテクはカッコいいんだけど、一番印象深かったのは、警察の車をまくためにバック走行を披露する場面で並行車線の車に乗っていた子どもと目があって、その子どもがニカッと笑ったら、お返しにニカッ😄と笑い返すところ!!ここだけ何回も見れるくらいほっこりした。いやぁー、なんだかんだやっぱいい役者さんだなー。

ただ、その中でキップ役のリビシだけは少々持て余した感は否めない。リビシ独特の病んだ感じで何をしでかすかわからない感じとメンフィスとの兄弟間の微妙な空気感がスリリングではあるんだけど、兄弟の絆を取り戻す流れが割とあっさり終わっちゃって、その後も最後まで生気のないまんまなので、なんかそこに爽快感がイマイチ感じられないんだよなぁ。

あと、面白かった点としては盗む車に女性の名前をつけて呼び合ってる点。これは警察が無線を傍受されてしまった際に女性の名前にすることで車体をわからないようにする、いわばコードネーム的な感じなんだけど、それによって俺みたいな車に興味がないボンクラが観ても、あ、これがあれなんだと楽しめる作りになっている。特に最後の一台「エレノア」と名付けられたシェルビー・マスタング GT500がメンフィスにとっては因縁の相手で、盗むたびにトラブルに遭って結局盗めずじまいなのが、まるで「高嶺の花」的な絶世の美女に見えてきて面白い。そして、そんな「エレノア」に乗り込んだクライマックスの数十メートルジャンプ!!ここはワイスピに引けを取らないトンデモアクションながら、めちゃくちゃ引き込まれたなぁ。

そんな感じで惜しい部分もあるけど、舐めて観た分、トータル「当たり」の作品であり、今のワイスピと比べて観ても普通に面白い作品でした。オススメです👍

ちなみに、途中ほんのちょい役のチンピラ役で出てくる兄ちゃん、どっか面影あるなぁと思ったら、まだ若かりしマイケル・ペーニャ(「トムとジェリー」)だった笑。まだ観てない人は是非見つけてみてください!
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