ドラマチックではない、精神疾患や革命家、恋愛、その他が描かれている。
様々な物語でドラマチックに描かれるそれらは、どれも現実には劇中に広がる片田舎の風景のように平板なものであることがほとんどで、その滑稽さに気づかされる。
埼玉の郊外育ちの自分の10代後半の気持ちを思い出した。結局ドラマチックなものを目の当たりにすると、どこかで一気に冷めていく感覚。共感生羞恥というか。最もドラマチックな『KoolThing』のダンスシーンのダサさが、ドラマチックなものへ対してのカウンターになっている。
だけど、軽蔑しつつも、ドラマチックになれることの強靭さも知っていて、それらに負け続けている経験、そして羨望もある。
それら軟弱なる者の強さと弱さが過不足なく表現されていることが、インディーの傑作と呼ばれる所以だと思う。