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二十四の瞳のフクのレビュー・感想・評価

二十四の瞳(1954年製作の映画)
4.5
木下惠介がひと昔まえには「国民的な映画監督」と称されるほどの高い評価を得ていたのも、この作品があったればこそなんだな、という事が改めて理解できる作品。
戦後日本人的な風景を取り続けてきた彼だが、演出は良くも悪くも愚直であり、その特長が本作では美点として相乗的に発揮されている。
同じ高峰秀子主演の「カルメン故郷に帰る」や更には原節子、佐野周二主演の「お嬢さん乾杯」などのコメディにおける演出のテンポの悪さには辟易したものだが、本作のような泣かせる人情ものでの上手さはまさに本領発揮、日本人の琴線を巧みに突いてくる。
監督名で客を呼べる、松竹映画の代表的なスター監督であった彼の凄みを痛感した。
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