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浮き雲のsadieのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
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どこかこれまでのアキさん作品とは趣が違う。  

重ね重ね不運に見舞われる夫婦の話ではあるが、どこかコミカルな仕掛けが至る所に散りばめられている。そして前作までの作品に漂っていたオフビートな雰囲気は薄まり、ほっこりするような感覚に覆われる。

そういう意味において、方向性としては小津の「お茶漬けの味」に近いものがあるが、アキさんなりのオリジナリティが強く押し出されてもいる。

一方でフィンランド社会のダークサイドをアイロニーたっぷりに描くアキさんの手腕につくづく見とれてしまう作品でもある。

いろいろな視点から鑑賞することができることもあり、総合力の高さをアキさんはたっぷりと本作品で見せてくれている。
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