Antaress

ショコラのAntaressのレビュー・感想・評価

ショコラ(2000年製作の映画)
5.0
見終えた時、胸からお腹にかけてふんわりと満ち足りた気持ちになった。これが極上の映画に出会えた時の至福。

午前十時の映画祭でバベットの晩餐会と対で上映されるのもナイスなチョイスだと思う。

女性映画だしメリー・ポピンズとバグダッド・カフェの様にメルヘンな内容なのが好み。ただメリー・ポピンズと違ってヒロインのヴィアンヌにはダメな部分も多いのがリアル。だからメルヘンだけでは終わらない。

ヴィアンヌは娘のアヌークの寂しさ、悲しさを知りながら気付いていないふりをしている。【私を必要とするまだ知らない友達のため】と。
それは行き過ぎたボランティア精神で結局はレノ伯爵の極端な信仰心と変わらない。

堅実に生きることや他愛の精神は大事だが人生には遊び心は必要だし、自分の家族は他者よりも優先させるべきだ。

アルマンドの死を自分のせいだと思い悩みせっかく定住出来そうだった村から去ろうとしたヴィアンヌ。その時ヴィアンヌの気持ちを変えたのは彼女の母の遺灰入りの壺が割れたことと村の人達の友情だった。

村の人々が村の因習に囚われていたのと同様にヴィアンヌは母の呪縛に囚われていた。母から娘へと繋がる呪縛をヴィアンヌはアヌークへも繋げていた。でも定住出来る村を見つけてその呪縛も途切れた。

そして同じ流れ者だったルーが戻って来たことで新しい家族が生まれた。

風と共にやって来て風と共に去って行ったメリー・ポピンズと違い、ヴィアンヌは風に逆らった。
風は彼女の母の遺灰と共に何処かへ飛んで行った。

アルマンドの幸せな最期もジョセフィーヌが店にアルマンドの名前を付けたオチも素敵。

アヌークのイマジナリーフレンドのカンガルーが旅立ったとこで泣いたわ〜


それにしてもフランスの女優さんが着ているカーディガンてどうしてあんなにお洒落に見えるんだろう。何てことないシンプルなデザインなのにね。
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