あやと

アトランティスのこころのあやとのレビュー・感想・評価

アトランティスのこころ(2001年製作の映画)
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なんか、踏んだり蹴ったりな1日に沁みる

優しさというもの、人の心というものは、なんと儚く美しく、固く脆いものだろうか
幻。夢幻のごとく、友情と恋心は記憶の底に沈む
それでも記憶は消えない 優しい心と勇敢さは刻み込まれ、家族を失ったぽっかり空いた穴も、心の窓を開いてその優しさや勇敢さと共に人の心を繋ぐ

不思議な能力が超能力としての異質さは影を潜め、まるでさも以前からそこにあったかのように他のものと同じように肩を並べる まるでそこに最初から存在しなかったかのように
彼の存在は人の心の引き出しにある肯定の擬人化した様
けれど彼の、そして彼を信じるものの周りは否定ばかり
人を肯定するということが人の心を変える
未来へ、前を向けるようにと変わる
それはたぶん彼ではなく、自分を肯定しようとする前向きな意志
どんなにつらくても現実を直視できなくても、自分と、自分を信じるものがあるからがんばれる
幻の国は言葉どおりの幻ではなくて、あの頃、自分が信じるものだけしかいない、けれど彼にとって全世界でもある少年時代を、肯定することができる勇気を与えてくれる場所と人なんじゃないかなって思ったりする だって、アトランティスは信じる人がいるから存在してるから

アンソニーホプキンスの柔和な役、『チャーリング・クロス街84番地』を思い出す あの優しい目は、まるで絵に描いたような美しさを感じる

ほんとにずっと忘れないだろうな、あのキスを お祭りで乗った観覧車を 彼女の笑顔を
人生の中で、あなたが描いたこの作品のことを忘れないように胸に抱きたいと思う自分のように
あやと

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