ゴート

ソラニンのゴートのレビュー・感想・評価

ソラニン(2010年製作の映画)
3.3
浅野いにお原作の映画化は難しい。
浅野いにおの漫画は、一枚に切り取られた静止画とかに、魂が宿るような世界な気もする。(漫画的といってしまえばそれまでなのだが。)
だからよっぽどうまく撮らないと、会話シーンの長回しとかは耐えきれない。

という前提を抜きにしても、この監督の撮り方はひどい。
カメラの置き場所を、だいたいにおいて間違っている。シーンの収め方が悪い。もう少し抜きが欲しい。
物語の大事な局面。芽衣子に呼び出されたビリーと加藤が待っていて、そこにギターケースを背負った芽衣子が現れるシーン。なんでこんな窮屈なカットなのか。芽衣子への切り返しも全然ドラマチックじゃない。

演出も中途半端。原作の世界をそのまま再現することはできないのだから、映像作品として再構築するつもりで、作って欲しい。ちょっと作風に色がついてしまうけど、岩井俊二か大根仁監督が撮ったほうがよかったんじゃないだろうか。

ただ、全部ではないけど、役者の演技はよかった。
特に加藤役の近藤洋一と、種田の父親役の財津和夫。2人の演技は合っていたと思う。
この作品において、ミュージシャンの演技が光ってみえるというのは、グッとくるものがある。ミュージシャンだからこその魂の込め方があったんじゃないか、と思ったりした。

アジカンは最高だった。
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