ウシエルとウシファー

ドラえもん のび太の創世日記のウシエルとウシファーのレビュー・感想・評価

3.4
68点

おもしろかった

子どもの頃観て割と退屈な印象だったんだけど、今観ると面白い

自分だけの地球(宇宙)を作って観察日記を付けるというストーリーを主軸に、宇宙の成り立ちから生物進化、神話や民話、人類の歴史まで語り尽くすなかなか渋いテーマ(悪い意味でなく)
あまり子ども向けではないかもしれない

もしかしたら僕たちが生きてる世界も子どもが自由研究で作ったのかもしれない、神話や歴史的事件もただの気まぐれかもしれない、と示唆させる、メン・イン・ブラックみたいなおもしろさがある

序盤は自由研究のテーマに悩むジャイアンのサイドストーリーが地味に面白い
スネ夫の研究テーマを横取りしたり、ジャイアンを差し置いて研究テーマを決めたのび太に一喜一憂したり
本筋とは別の意味で目が離せないw

ドラえもん映画では珍しく敵がいないストーリーだけど、現実世界に現れた昆虫人たちが割と終盤まで創世世界との繋がりが分からないのも、緊張感を持続するいい仕掛けだと思った
(結局現実世界にリンクした具体的な方法は語られないけど)

あとお気に入りなのはエンディングで実際にのび太たちが作った創世日記を全ページ見られる所(停止すれば全文読める)
ドラえもんの落書きに「←短足」みたいなふざけた書き込みがあったり、スネ夫は絵が上手かったり、しずかちゃんは図解で説明していたりなど、らしさがしっかり表現されていてもう見てるだけで楽しい

先生はこの共同研究をどう捉えたんだろうね(「大変よくできました」って書いてた)

ドラえもんの世界のバランス感って不思議で、平凡な町の平凡な家に「ドラえもん」という非凡な存在がいる事が普通に受け入れられてるんだよね
その周辺の子どもたちは頭に黄色いプロペラを着けて町の上空を飛び回るけど、なんの騒ぎにもならない

かと思えば本当のイレギュラーが発生したら騒ぎにならないように隠そうとしたり、視聴者の僕らもそれが当たり前になっていて違和感も感じないけど、冷静に考えれば考えるほど不思議なバランス感