◆あらすじ◆
1964年、人種差別が色濃く残るアメリカでカシアス・クレイはボクシングの世界王者となった。彼は一躍ヒーローとなり、入信するイスラム教(ブラック・ムスリム)の教祖から「モハメド・アリ」の名を与えられる。しかし、彼はベトナム戦争への徴兵命令に対して拒否したため、ボクシングの試合ができなくなり、裁判費用も相まって彼は困窮していく。
◆感想◆
伝説的なプロボクサー、モハメド・アリの半生を描いた作品であり、困難な出来事があっても己の意思を貫いたアリの生き様は誰も真似のできないものでした。
モハメド・アリという人物の中には、幼い頃から人種差別の存在が大きくあって、彼がマルコムXに共感し、自分の意見を押し通そうとする姿勢になったのは自然な流れだったように思いました。
アリという人物はマスコミに対してビッグマウスであった一方、その本心がとても見えにくいように感じました。相手を必要以上に挑発し続ける一方、自分の苦しみや辛さを口にすることがほとんど無く、彼の表情などから察するしかありませんでした。
アリはベトナム戦争への徴兵を拒否したことにより苦境に立たされます。この決断は彼の人生に大きな影を落としますが、それとともに、たとえ国であっても自分の意思を曲げさせないという彼の凄みを感じさせる部分でもあります。
試合のシーンはとても良く出来ていて、若い頃は素早いフットワークで相手を翻弄するスタイルになり、ラストのキンシャサの試合ではロープワークで相手のスタミナを奪っていくスタイルを披露しており、アリを演じるウィル・スミスの肉体が説得力を持たせていたように思います。
モハメド・アリという人物をよく知ることができて良かったと思います。彼が伝説であることに納得しました。
鑑賞日:2024年1月6日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2023年2月5日)