Angiii

貝殻と僧侶のAngiiiのレビュー・感想・評価

貝殻と僧侶(1927年製作の映画)
5.0
イメージフォーラムフェスティバル2022にてライブ演奏とともに鑑賞。

無心にフラスコに液体を注ぐ僧侶、サブリミナルな破片に忍び寄る軍服の男、一体何が起こっているのか直感的にわかるのは僧侶の男がバカでかい貝を手にしているのを目の前したときである(そしてヴィーナスの誕生を想起せざるを得ない)。彼の女体への溢れんばかりの情動は女の乱暴に剥き出しにした乳房が柔らかくささやき、すでにアイツのモノ(言い方としては適切かわからないがあえてこのような表現をとる)であると考えるたびにうごめく殺意は女の美しき横顔にその原罪的な悪意を驚愕と悲哀として影を落とす。

貝殻と僧侶という直球なメタファーは彼の清廉と欲求の対比を導き、貝殻から血のような液体を貪欲に嚥下するさまは欲望への回帰と読み取れる。人間の孕む性的な欲が生々しいほどに描写され、見てるこちらも禁忌的なドギマギを禁じえない。
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