Moka

秒速5センチメートルのMokaのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
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この60分間は山崎まさよしのOne more time,One more chanceの長編ミュージックビデオと言っても過言ではない。

風景や感情の描き方が上手い。
それは一瞬のような、永遠のような。
若かりし時に彼女と過ごした一分一秒が、
大人になって踏切で振り返った時に永遠になる。

ストーリー性云々よりも誰もが感じたことのある刹那的な感情に重点を置いて描いた作品。

面白い映画かと言われると、まあ面白くはないです。
ふと昔の感情を思い出したくなった時に引き出しから取り出したくなるような。
恋の切なさをたっぷり抽出したエッセンスのような映画。


余談ですが
One more time,One more chanceの歌詞には
『いつでも捜しているよ どっかに君の姿を
明け方の街 桜木町で
こんなとこに来るはずもないのに』
というフレーズがあるのですが。
最近気がついたのですが実家の近所にも同じ町名があるみたいなんです。
ええ〜!?知らなかった!😳
(歌詞の桜木町のモデルは東京の方だそうです)

そこは数年前にすごく好きだった人が住んでいる町で。
そのどうでもいい事実に気付いたのは桜木町に向かうバスに乗って、まさに山崎まさよしのこの曲を聴いていた時。
窓際の席から満開の桜をぼんやり眺めていた時に運転手さんが『次は桜木町です』と言ったんです。
まあ事実だけを言うと以上なんですが。
全く大したことではなかったのですが。

私は見慣れた町と視界一面に舞う桜と桜木町という聞き慣れぬワードに何故か変に驚きと感動を覚え、
走馬灯の様にたくさんの思い出が頭を駆け抜けてゆき、時間が止まったように感じられたんです。
そしてふとこの作品を見た時の切ない雰囲気で胸が満たされて、数秒か数分か分からないのですが動けなくなりました。
まあオチはなくてそれだけの話なんですが。
年を取って涙脆くなったな〜って思いました笑

新海誠監督作品は大体見尽くしたのですがこの作品が一番好きですね。味があります。
そこまで作品としての評価は高くないんですが、個人的には宝箱に入れたいほど特別な作品です。
今回はスコアはつけません。
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