うーた

秒速5センチメートルのうーたのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.6
二話のコスモナウトの色づかいが堪らない。種子島行ってみたいな〜。全カット絵になってるし、痛々しいほど風景が心に響く。

確かにアニメ美術の役割は生活や舞台を描くことではあるんだけど、もっとその先、感情を支配する事こそが至上。そこを思い出させてくれる作品。

新海作品は古い職人気質のアニメーター・背景マンに嫌われがち
(所謂アニメ業界上がりの作家の作品とは映像の思想が異なる。
業界上がりの演出はモノローグとかに頼らずアニメーションで魅せたがるし、背景も職人気質でデジタル嫌いが多い)
なんだけど、作品を統合する哲学が見えてない奴は作家としてどうなんだろうか。
アニメ業界は大規模な集団制作だからこそ、入り口に立ったばかりの新人が作品の枠から外れることを許さない。新人のころは個性を殺した職人として育てられた人間が、作家性の必要な演出や作監美監が出来るんだろうか。小手先の技術で作品を作ろうとしちゃうんだよな、職人は。フェイチズムや思想が無い。




宇宙て新海作品に度々登場するモチーフなんだけど、描かれてる2人の閉じた小さな関係とは相反する物ではある。でも、その感情を表現するシーンであえて空や宇宙みたいなスケールのデカイものを使うからエモいんだよな。この辺はセカイ系に通じるものがある。
外から見たらちっぽけや関係は、当事者にとってはどこまでも未知で大きく澄んでて美しいもんだ!てことを感じさせてくれる。
(こういう風に言葉にして抽象化すると色々抜け落ちちゃうから無粋かもしれない。
2人を表現するのは空や宇宙の持つイメージそのもの。映像に出てるものが正義だし、言葉に仕切れない部分を描けるのが映像表現の魅力だし)



二話は話も好き。負けヒロインというか、片思いしてる女の子はやっぱ魅力的。でも現実でそういう子を好きになるのはなんか違うし、コンテンツの中でしか輝けない存在だなとも思う。
うーた

うーた