社内バーテンダー

バットマン ビギンズの社内バーテンダーのレビュー・感想・評価

バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)
4.8
バットマン誕生の話
哲学的な要素が深く考え込まれていて素晴らしい映画だと感じた!!

恐怖によって生まれる悪党に対して、恐怖(闇に潜むコウモリ)で戦うという構図がとっても深い!

この構図はゴッサムシティという街を舞台としていて、悪党が生まれる原理が街の構造にある、としている点から始まる。
街の構造によって生み出される恐怖(死、権力の剥奪、経済力の損失などへの恐れ)によって、悪党が生まれてくる。
それも分かりやすいヴィラン的存在だけじゃなく、汚職警官など比較的小さな悪党も生み出している。

彼らを根絶してゴッサムシティを良い街にしようとするのがバットマンなんだけれど、バットマンは悪を完全には否定しないんだよね。
勧善懲悪もののスタンダードは悪を否定して悪党を倒す(大抵は殺す)物語だけど、バットマンは違う。

正義が大きくなり強くなればなるほど、対する悪も大きくなり、それが連鎖するということを理解している。(最後のゴードンが話す内容)

だから、バットマンは正義を振りかざすのではなく恐怖を振りかざす。
なんのためか。悪党に恐怖と向き合う機会を与えて人としての強さを獲得してもらうためだろう。

これはバットマン誕生に至る過去に由来するけど、
恐怖と向き合えなかったブルースは一歩間違えれば犯罪に手を染めるところだった。
その経験から悪党になる人の心理を理解しているんだろうね。
そして、恐怖に向き合ったときの人が持つ意志の強さも理解して体現できている。

人間臭い部分を全部抱えてヒーローだからこそ、超人的な力が無くても強いし、多くの人から人気なんだなとわかった。

とっても素敵な作品です。

この作品で一気にバットマンファンになった!
原作もそうなのか、クリストファーノーランさんがご自身の哲学を盛り込んでいるのかはわからないけれど、ともかく最高だった。