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大いなる遺産のRのネタバレレビュー・内容・結末

大いなる遺産(1998年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

1998年のアメリカの作品。

監督は「ROMA/ローマ」のアルフォンソ・キュアロン。

あらすじ

姉に育てられたフィン(ジェレミー・ジェームズ・キスナー)は幼少時、脱獄した囚人ラスティグ(ロバート・デ・ニーロ「アムステルダム」)と一時を過ごす。その後、大富豪の老婦人ノーラ・ディンスモア(アン・バンクロフト「ハートブレイカー」)の元に通い込みで奉公することになったフィンはノーラの孫であるエステラ(ラクエル・ボーデン「理想の恋人を見つけるための7つのジンクス」)に恋焦がれる。大きくなったフィン(イーサン・ホーク「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ」)はある夜エステラ(グウィネス・パルトロー「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」)にパーティーに誘われるが、その後エステラは都会に行ってしまい、音信不通になってしまう。

ディズニープラスにて無作為に選んだ中から。

パッケージからして俺が苦手そーな甘々のラブロマンスの雰囲気をプンプン感じたんだけど、監督があの「ゼロ・グラビティ」などのメキシコ三羽烏の1人アルフォンソ・キュアロンだったので、恐る恐る鑑賞。

結論から言えば、さすがキュアロン!!後半にかけて尻上がりに面白くなっていき、普通に楽しめました。

ちなみに本作、ディケンズが原作でwiki情報によると映画化もこれを含めて5回(今作は4回目で2012年版もある)、ほかにドラマシリーズもあったりと度々映画化されているらしい。

お話はあらすじの通り、そのものズバリの恋愛もの前半は幼少期の主人公フィンとヒロインエステラの淡い恋模様を描いているんだけど、その出会いから強烈。

エステラの祖母のノーラの屋敷に通うことになった初日、屋敷の噴水で喉が渇いたのでフィンが水を飲んでいるとそこに重なるような形で唇を合わせ、キスまでもつれ込むエステラ。

せ、せ、せ、積極的〜!!

その後もエステラに恋焦がれながら幼馴染として共に成長していくフィンなんだけど、成長した姿がイーサン・ホーク!!まだ若かりしき、まさに美青年という感じなんだけど、それ以上に絶世の美女的な感じの演出でエステラが成長した姿がグウィネス・パルトロー…なんだけど、個人的にはうーん。まぁ、ぶっちゃけパルトロー自体、私生活ではなかなかの高級志向で批判も多いイメージもあって個人的に苦手っていうのもあるけど、まぁそこまで言うほどかなぁ〜?という感じ。

加えて、パッケージ含めて、セクシーイメージで打ち出しといてヌードそれ自体を映さないってどういうことよ!なんつーか映すのか映さないのか絶妙なアングルのせめぎ合いの中で結局最後まで映さないので、パルトローよ意向かなんか知らんがすげぇ中途半端に感じた。

ただ、それ以上に前半パートで持ってくのがノーラ役のアン・バンクロフト。神秘ささえ醸すエステラの美貌演出とは対照的に厚化粧を塗りたくっても隠しきれないシワの多さで、多分昔はエステラなみの美貌を誇っていただろうに、今は見る影もない醜悪さで強烈だった。

で、その後のパーティーでなんとかペッティングまでもつれ込むものの、その翌日都会のニューヨークへ旅立ってしまったエステラ。失恋したフィンは義理の兄のジョー(クリス・クーパー「ボストン・キラー 消えた絞殺魔」)と共に漁師として生計を立てるんだけど、元々芸術的な才能を持っていることを「ある人物」に見染められてニューヨークでいきなり個展を開くことに。

で、なんだかんだ成功して、一気に富と名声を手にするんだけど、ここでのパーティーでのシーンが物悲しい。わざわざ叔父のジョーがその場に駆けつけてくれるんだけど、ジョーは死んでいて、天涯孤独の身というウソでキャラ付けしていたフィンは大慌て、明らかに浮いているジョーもパーティーで粗相をしてしまい、一気に気まずさMAX。

この手のトラブルメーカーのキャラって主人公に災難だったり、堕落のきっかけになったりするイメージで今作のジョーも演じているのがコワモテイメージのクリス・クーパーなこともあってそうなるのかなぁ…とハラハラしてたら、全然そんなことなく、むしろ「邪魔して悪かったな…」とその場を立ち去り、気まずくなったフィンが追いかけてきて、本当は1番成功の嬉しさを分かち合いたいにも関わらず「俺のことは気にせず、(パーティーに)戻れよ!」「でも、俺はお前のこと誇りに思ってるぞ!」と最後までいい人で泣ける!!

元々このジョー、フィンとは言うてもなんの血の繋がりもないんだよね、ジョーの恋人でもあるフィンのお姉さんが出ていっちゃって成り行きで育てることになっちゃうんだけど、まるで本当の弟のように面倒見が良くて、最後までその気持ちを失っていなくて、本当にいい人。クリス・クーパーの哀しげで寂しげな強がり演技と相まって、マジでグッとくる。

で、その過程でエステラとも再会していて、既に富豪の恋人をゲットしていたエステラが結婚間近ということで居ても立っても居られず、大事なパーティーを飛び出してその恋人から颯爽と連れ去る形で遂にベットイン!!良かった!!

ただ、そんな甘い時間も長くは続かない。ジョーとの絆も断ち切って、ただ成功を求めて「エステラに相応しい恋人」になるために邁進していたフィンなんだけど、実はそれこそノーラの思惑通りで、実は自身が「栄華」を手にできなかった代わりにエステラを誰もが憧れる淑女に育て上げ、都会に向かわせて、そこで恋人を作らせるのに成功するもののなかなか煮え切らない恋人が「結婚」に踏み切る、要は「餌」としてフィンを送り出したと。

その結果、エステラの恋人のメガネ野郎(またこいつが自意識過剰にフィンを訪れて、フィンがエステラのこと好きなのわかってるくせにいけしゃあしゃあと「俺結婚していいかな?いいかな?」と後押しせざるを得ない会話を半ば強要するのがめちゃくちゃ腹立つ!)は遂にやばい!と結婚に踏み切り、エステラもそれに承諾して高飛びしてしまったと…。

酷い…。まさに恋心を弄ばれた、とんだ悪女のエステラに翻弄され、失意に暮れるフィンだったんだけど、実は今作もう一個どんでん返しがあって、幼少時、それこそ序盤も序盤にどこからか脱獄してきたラスティグという囚人と知り合うんだけど、それを演じているのがみんな大好き、俺も大好きデニーロ!!

で、そんなデニーロ、フィンに結果的に逃された後、捕まっちゃった死刑確定したらしいことが当時のニュースで明らかになるんだけど、実は生き延びていて、フィンの絵描きとしての才能を見抜き、都会で支援した相手こそ、ノーラでもエステラでもなく実はこのラスティグだったと!!

マジかよ、つーことはてっきりノーラもエステラが支援していたと思っていたこちら側にとって彼女らは「伏線」というか「ブラフ」だったと。すげぇ!!

で、そのことを身元を明かさない形で無理やり再会までこじつけたラスティグに今や成功を手にして初めは警戒心を露わにするフィンなんだけど、元々優しい性格ということもあって、その時も昔の悪い奴らに追われているらしいラスティグを逃そうとする。

で、なんとか追ってを掻い潜り、電車に乗り込んだのも束の間、実は乗車していた追ってに後ろから刺されてラスティグは死んでしまう。

死ぬ間際の「俺は悪事を重ねてきた。でも一つだけ、いいことができた。俺の金を全てお前に使った。俺の唯一の誇りだ。」とその最期を看取ることになったフィンに抱かれながら、その真相を明かすシーン、また幼少期にフィンが描いた魚や海の絵が描かれた手帳をずっと肌身離さず持っていたラスティグがフィンと共に1ページ1ページめくりながら「見てみろ…いい絵だ。よく描けてる。綺麗だ。」と言って死んでしまうシーンは暗闇から一気に陽光の中でパリの情景が広がっていくバックとデニーロの名演もあり、不覚にも涙涙。

で、最後は長らく疎遠だったジョーとも再会してめでたしめでたしなんだけど、思い出に駆られて、とうの昔に亡くなったノーラの屋敷を訪れたフィンがどうやら離婚して、子連れで同じく屋敷を訪れていたエステラと再会して、遂に結ばれることを予期させるラストはなんか…納得いかん笑!!フィンはそれでいいんかい!!絶対また翻弄されし、間違いなく幸せな生活は送れないだろうに…。

全くもって恋とは、愛とは罪深し!!そう感じる映画ながら、面白かったです!!
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