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ベイブのKYのレビュー・感想・評価

ベイブ(1995年製作の映画)
4.0
ジョージ・ミラー製作・脚本作。

食べられる宿命を背負ったブタが牧羊豚になる事を夢見て奮闘する動物コメディ。芝居してるていの動物がカワイイだけでなく、手塚治虫の動物モノの様な仏教的共生感が根底にあって面白かった。

牧場の沢山の動物、彼らそれぞれが牧場での役割から生きる意味を持って生きている。犬は羊を追うために生き、羊は羊毛を生やすために生き、猫は鼠を取るために生き、雌鶏は卵を産むために生きる。そして支配する代わりに餌を与える人間。

この共生の描写だけでグッとくるものがある。今でこそペットとして飼われてる動物も多いけど、元来彼らはそれぞれ役割を持って人間と生きてきたという事が伝わってくる(唯一役割のないネズミに歌という役割を与えるのは、ネズミをアイドルにしたディズニーに近い優しさがある)。

そんな中、食べられるために生きる宿命を持ったブタが牧羊犬の大会に出て活躍するストーリーは、ある意味人間の自由主義のサクセスストーリーに近い。でも人間のサクセスストーリーなら瞬間瞬間が幸せなら未来を考えずハッピーエンドで終われるんだけどベイブは豚。大人になったら食べられる運命にあるという事も予感させ、ハッピーエンドの中に妙な余韻も残る。

あと動物の様々な瞬間瞬間を編集して1つのドラマに仕上げるアイデアの面白さなど、さすが『マッドマックス』のジョージ・ミラー作品らしい内容だった。
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