烙印0928

殺しの烙印の烙印0928のレビュー・感想・評価

殺しの烙印(1967年製作の映画)
5.0
鈴木清順・殺しの烙印
冷酷で精神的に強く、人間性を乗り越えた南原宏治と、生への渇望が誰よりも強いが、自分を殺そうとした女を愛してしまうなど精神的な弱さを持つ宍戸錠の対比によって本作は描かれていると一見思われるが、実はそうではない。

個人的にこの作品のテーマは、南原宏治が格下で未熟な宍戸開を愛してしまったという点にあると思う。

彼の宍戸錠への性的欲望はいたるところに現れている。
腕を組んで歩いたり、一緒に寝たり、挙げ句の果てには自らの尿の垂れ流しを見せつけるのだ。
無論、これらの行為は、表向き上は南原宏治が宍戸錠より精神的に訓練されており、宍戸錠の未熟さを表しているものとなっているが、それと同時に南原の性的なアピールが惜しげも無く発揮されている行為であり、それはもはや露骨すぎるくらいである。

そのようにして、人間性を持っていてはならないはずなのに宍戸を愛してしまった南原と、
その南原に支配されつつも、彼を殺して自らがno.1になることに強く執着するほど南原を意識(愛)してしまった宍戸という二人の殺し屋は、
最終的にお互いがお互いを求めるようにして殺し合い、映画は終わる。
そこに女の介在する余地はなく、ラストに松葉杖で現れた真理アンヌは一瞬にして撃ち殺されてしまうのである。

好きなカット

主人公(宍戸錠)と妻のセックスシーン、水が強調、シャワーが流れるような速さで行為が流れる・音楽もいい/ヒロインが炎に包まれる映像・no2が炎に包まれて突進するカット

水の主題(衝動的なセックス・ファムファタール・死の予兆)
炎の主題(突然の死・殺人・銃)
烙印0928

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