プログレ

ザ・フライのプログレのレビュー・感想・評価

ザ・フライ(1986年製作の映画)
5.0
【しばらくはミスドにいけない】
こういう内面や精神が浸食される系のジャンルのホラー映画って幻想的で好きなんだけど、食べ物を汚く扱うシーンが多いのはなんで?
こういう要素は苦手だな。
クローネンバーグの作品しかり、ヤン・シュヴァンクマイエル的というか…
欧米にはパーティ文化(会食文化?)があるせいか、社交的ではなく内省的≒食事が嫌い、食べることに対する嫌悪感、不潔な食事、みたいな連想があるんだろうか?

【出前の中華と元カレ】
アメリカでは出前の中華は一人~数人で食べるもので「寂しい」とか「社交的でない変人」というイメージに使われると聞いたことがあるので、
テレポッド完成のお祝いをレストランにもいかず出前の中華で済ませようとする主人公の描写は「ガチの引きこもりで超変人、こんな男とこの先やっていけるのか?」という暗示かな?
実際の描写では主人公がそう言い出して電話をかけるより前に、ヒロインが元彼の陰気な行動(わざわざ雑誌の表紙の印刷用サンプルが入った封筒を残していく)に腹が立って文句を言いに行くけど。

【キリスト教の要素】
思ったよりもキリスト教の要素が強い。
遺伝子改変のタブーは想定の範囲内だけど、
・中絶の是非
・夫婦と子供の三人が一つになる、と言い出す→三位一体
・最後は自殺ではなく撃ち殺してもらう(自殺は罪)

【ハエ人間化≒ティーンエイジャー化?】
ヒロインが知性的なのに純粋で無垢な主人公に母性を感じ、
「あなたが赤ちゃんみたいに柔らかいから噛むのよ」と言いながら肌を甘噛みしていたのに、
身体の一部から毛(剛毛)が生え、机をたたき、肌が荒れ、性欲が異常に強くなり、自己中心的な振る舞いをし、甘いものを食べ散らかすようになる…
という描写は母親から見た息子の思春期の変貌を描いたようで、
単なる幼児化(精神的に幼稚になる)や老化(精神的・肉体的にに衰えていく)とは別の異質さがあってクローネンバーグ的だと思う。
プログレ

プログレ