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遠い空の向こうにのTPのレビュー・感想・評価

遠い空の向こうに(1999年製作の映画)
4.1
 本作の特徴であり長所は“普通っぽさ”だと思う。
 主人公(ギレンホール)は瞳が綺麗だが特にカッコよくもなく野暮ったいどこにでもいる高校生という風情。強面の父(クーパー)は息子も炭鉱夫になるものと決めつけてはいるが、全く話に耳を貸さないというほど極端な頑固者でもなく、家族に暴力をふるうこともない。母は息子、夫のどちらの肩を持つでもなく自立した意識の女性。
 友情も過度にならない程度だし、恋沙汰なんかほんとにあっさりしたもので、メロドラマチックなところは驚くほど少ない。しかし、このような描き方により感じられるのは稀有な“親近感”。

 映画には非日常を求めるという考え方もあってしかるべきなのだが、本作にそれはほとんどなく、それがかえって自分が経験してきた高校時代と近い感情をもたらし、そのような“普通っぽい”ことがベースにあるからこそ、そこだけを切り取ればなんてこともないラストの父と息子のちょっとしたイベントが、しみじみとした感涙を呼ぶ。
 全般を通して“普通っぽい”からこその感動で、非常に珍しい映画だと思う。
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