KazuAnn

失はれた地平線のKazuAnnのレビュー・感想・評価

失はれた地平線(1937年製作の映画)
3.4
1937年公開コロンビア制作の米国映画、原作が英国ジェームズ・ヒルトン(チップス先生さようならもベストセラー)の同名空想冒険小説で、脚色がロバート・リスキン(或る夜の出来事でアカデミー賞)。監督・制作がフランク・キャプラで、主演がロナルド・コールマン(コールマン髭で有名)、ジェーン・ワイアット。

中国にいた主人公コールマン達が飛行機ごとチベットの奥の方に在る平和な理想郷「シャングリア」に連れて行かれる物語。原作の愛読者ルーズベルト大統領は公設別荘をシャングリアと名付けたらしい。まあ映画でも、危機が迫っている英米インテリの未知なる東洋的な世界への憧れの様なものは感じさせられた。

キャプラ監督作品としては、随分と毛色が違う世界に挑戦していた。後のインディ・ジョーンズシリーズの様な冒険物語とSFもの、更にファンタジーがミックスされた印象で、散らかってる印象もあり大成功とは言い難いが、随分と時代の先をいってる様には思えた。

雪崩も起きる険しい雪山の踏破、険しい山々に囲まれた夢の様な争い皆無の温暖の地、その地で白馬を乗りこなし湖水で裸体で泳ぐ美女ワイアット、彼女とコールマンが戯れる映像、不老の地シャングリアでは20歳乙女も外界に出ることで老婆になり亡くなってしまいショックを受け雪山から滑落する主人公弟、シャングリアを築いた250歳超の神父から後を託されるコールマン、そして英国に戻ったのに再度シャングリアに戻る主人公。世界情勢の厳しさの裏返しか、随分とユニークで興味深い1930年代米国映画であった。

なおプライムビデオでの鑑賞だが、一部が静止画になってしまっていたのはかなり残念。
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