半兵衛

大日向村の半兵衛のレビュー・感想・評価

大日向村(1940年製作の映画)
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映画が単なる娯楽ではなく、時には政治利用され民衆に悲劇をもたらす一因となることを証明する貴重な記録。苦しい国内での農業を捨て夢と希望に溢れる満州への開拓に向かう主人公たちの姿は真摯に描かれているけれど、モデルとなった村人やその宣伝を純粋に信じて満州に渡った人たちの顛末を知っていると余計に作品の残酷さがにじんでやりきれなくなる。

この作品に加えて同じ年にハンセン氏病の隔離政策を美化して描いた『小島の春』を手掛けてしまった豊田四郎監督は映画の裏に蠢く闇に囚われてしまったのだろうか(当時豊田監督が所属していた東京映画の親会社である東宝が国や軍部との繋がりを強めるため積極的に宣伝映画を作っていたことも大きいが)。
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