Frapenta

エンゼル・ハートのFrapentaのレビュー・感想・評価

エンゼル・ハート(1987年製作の映画)
4.8
実録モノのイメージが勝手に強かったアランパーカーがオカルトスリラー?果たして合うのかと思ったが……最高だった。

私立探偵に怪しげな男から一件の依頼が入り、調査をしていくと深みにハマっていき衝撃の事実が明かされる……といった内容。やはりミッキーロークとロバートデニーロの怪演が光る。ミッキーロークは今や小太りのレスラー体型のイメージしかないのだが、今作はまだスリム。甘いマスクで女性たちを魅了していく。後半にかけて混乱の渦に巻き込まれていく様子は一見の価値あり。自分が今どこにいて、誰なのか、わからなくなっていくのが恐ろしい。それに呼応するように邪悪な微笑みを見せるロバートデニーロも熱い。ロバートデニーロは誰かを支配したり振り回す役がほとんどで、今作も例に漏れなかった。あんなにオカルティックに装飾を施しているデニーロも珍しくて良かった。

また、アランパーカーの実録的な映像もよりカルトの怖さを湧き上がらせていてよかった。街の日常を多く挿入することで、悪魔的な存在は近くに潜んでいるのを強調しているようだった。
また、無機質な空間を血や明暗を使いながら鮮烈に飾るのも本作の特徴。特に行為中の幻覚は理解を超えた何かまずいことが起きていると刺激的にこちらに知らせているようで、観ている側からしたら何もできないし止められない怖さがすごかった。
そして個人的に1番のお気に入りはエレベーターを巧みに使った不気味なエンドロール。ゴシックな作りがより宗教色の強かった時代の悪魔を連想させる。そして悪魔的な入れ物に乗せられて堕ちていくのはまさに主人公の成れの果てそのもの。今まで観た映画の中で1番グロテスクで最高なエンドロールかもしれない。なんだこのラストは……!興奮した!

他のレビュワーも言及されている通り、U-NEXTの字幕が酷すぎて鑑賞を妨げているのが惜しいが、それを抜きにしてビジュアルで圧倒された。そして内容も若干予想はできたもののそれを超えてくるえげつなさ、および実録風故の「現実離れしているが限りなく現実に近い」と思ってしまうという1番恐ろしい体験ができてよかった。
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