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ミスター・アーサーのみおこしのレビュー・感想・評価

ミスター・アーサー(1981年製作の映画)
3.4
ニューヨークに暮らす大富豪の御曹司のアーサー。独身生活を謳歌し、執事のホブソンのサポートもあって何不自由ない放蕩生活を送っていた。しかし、見かねた父親は彼に政略結婚を命じ、もし従わないのならば遺産は分与しないと告げる。仕方なく名家の女性スーザンとの結婚に同意するアーサーだったが、思いがけず万引きを試みたリンダという女性を警察の手から救ったことで事態は大きく急変する…。

1981年度アカデミー賞の助演男優賞と歌曲賞を受賞した、まさに80年代の雰囲気漂うラブコメ。クリストファー・クロスが歌う主題歌の"Arther's Theme (Best That You Can Do)"は言わずと知れた名曲ですが、いざ映画本編を観てみるとこの曲のイメージと少し違っていてびっくり。もっとスタイリッシュな感じかと思ったら、結構なドタバタ劇だった!(笑)でも40年前の映画とは思えないほどに、ニューヨークを舞台にしたとっても都会的なお話で、街の風景を眺めるだけでも楽しい1本。

タイトルロールのアーサーを演じるのは、ダドリー・ムーア。彼自身のことではなくこのアーサーという男にどうしても感情移入ができない!(笑)終始テキトーだしずっと笑ってるし、どうしてリンダとの間に恋愛感情が芽生えるのかも納得がいかず…。お金持ちの御曹司ということで、普通の神経をしていないんだろうけれど、やることなすこと破天荒すぎるしかといってすごくイケメンというわけでもないから、個人的には中途半端なキャラクターに感じてしまいました…!
それに対して、ライザ・ミネリ扮するリンダは一癖も二癖もある一方で、幸せを追い求める乙女な部分が垣間見えてすごく魅力的。カウボーイハットにあの奇抜なファッションも、明らかにニューヨークの街中で浮いてるんですがそこが良かったです。
でも、本作の目玉は何といってもイギリスが生んだ名優で、サー(Sir)の称号も持つジョン・ギールグッド。シビアにアーサーを管理する毒舌家の執事という役回りがとってもユニークで彼のセリフで毎回笑っちゃいました。かと思うと、ホロリとさせられる部分もあり、さすがの名優の圧巻の演技に唸るばかりでした…!!

凸凹男女が主役のたくさんのラブコメを見慣れ過ぎてしまったのも原因かもしれないけれど、思っていたよりも新鮮味があまり感じられなかったのは間違いなし…!でもとにかく前述の主題歌とニューヨークの街並みの見事なマッチング、そして小粋な会話劇に心癒される作品でした。
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