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フェアリーテイルのyのネタバレレビュー・内容・結末

フェアリーテイル(1997年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

この話、コティングリー妖精事件が好きだから評価は甘くなるわけですが。

どうにもメリハリに欠けるのは視点がふわふわしてるからだろうか、群像的な作りなんだけどこの話だとどうしたって二人の少女に目はいく。はてしなくグダグダウロウロする話から少女ふたりにフォーカスして終わっていく構成は良いのだけど、やっぱり軸が通りきってないのかな。"おはなし"の映像化から先へは行けてない気がしちゃう。

クライマックスのカットバックも流石に弛緩しすぎてて機能してないと思ってしまった。そこまで演出的ハッタリなしでやってきて、ハッタリのためだけに叔父の視点を入れるのはアンバランスじゃないか。そのあとの"越境"を見越しての転調の意味もあると思うんだけど、うーむ。

ファンタジーが起動するシーン自体と、そこで明かされる"神秘"の構造はかなり好きなんだけど、それの初回の視点人物がなあ…いや個人的な好みとしては、この距離感、主要登場人物のいないところで映画的真実をあかす作りは好きなのだけど……やっぱり弱いんだなあ。

ラスト前の百鬼夜行も、めちゃくちゃ綺麗でいいシーンなんだけど、やっぱりおはなしとしての着地が定め切れてない気がする。割り切れてないというか。


撮影は全編にわたってちゃんとしてる。みどりと朱を基調にしたトーン。

ハーヴェイ・カイテル演じるフーディーニが、がっちりみっちりした体格の魔術アスリート感があって良い。このキャラクターの置き所は気持ちが良かった。


ちなみにこの映画では触れられないけど、60年とか経って年老いてから、実際のふたりは、この写真たちが実はやはり作り物であった、と明かしています。
…ただ一枚、いちばん最初に妖精たちを撮った写真をのぞいて。

なんとも素敵な話なので何度でも映画化してほしい。
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