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仁義なき戦い 広島死闘篇のSのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)
3.5
 第一作とは異なり、山中という特定の男にフォーカスするスピンオフ的な作りになっている。本作の製作の決定が第一作の途中だったことに鑑みるに売れ線を意識していたのだろうが、恋路に迷った男の狂気的な暴力よりも、ヤクザの組織的な蠢きがおどろおどろしいドラマを作っていた前作のほうが好き。好みの問題ですが、個人の感情にフォーカスした映画が苦手。プロットを動かすのが特定の人物の内面的動機に求められるのだが、そこにあんまり共感できたことがないからかもしれない。というかそんなのどうでもいいとさえ思っているのかも。
 しかし一方で、梶芽衣子の泣きの演技は迫真もので、身体全体から絞り出すような声は聞いていてとても緊張してしまった。感情的な次元というよりも身体的な痙攣が伝染したという感じ。
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