あんときの井上

我らが愛にゆれる時のあんときの井上のレビュー・感想・評価

我らが愛にゆれる時(2008年製作の映画)
3.7
掘り出し物の良作。

白血病の娘を助けたい母親と能天気に見える継父、そして別れたが娘を助けたい父親とバリキャリで子供が欲しい現妻の四者四様の葛藤が見事に描かれてておもしろい。

ラストシーンにおける継父の宣言に母親は困惑したのではないか?なぜなら母親は別れた父親への未練に気付いたように思われるからである。従って、娘の為に右往左往していた母親は、今後継父と父親の間で右往左往する予見を感じさせる。

また、細かい演出も今作の特徴ではないだろうか?
娘との面会後に車内で項垂れる父親の側で、ハザードランプが鳴り続いていて、それが一層父親が泣いているように見えた。
さらに、レストランで食事する母親と父親の場面では、母親のある提案によって事態が急変したことをパンによる母親の背後の蝋燭が画面から消えることで示している。父親から見れば唯一の希望の灯火が消え、母親が闇堕ちしたように見えたことだろう。

他にも未だ未だあると思うので、三者三様楽しめる映画だと思います。
あんときの井上

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