あれだけ母親に振り回されても「一番好きなのはお母さん」と答える子供(啓吉)。今では通説になった回答だけど当時では驚きの演出だったのでは。
言いかえれば、正直、今の感覚では演出が当たり前すぎてお涙頂戴に感じられるところも多かったような。
男に狂うだらしない母親の風貌が美人でも不細工でもない余りに普通なことで物悲しさが増した。
終盤、啓吉が「(九州は)とーいの?」と母親に聞く時の声がか細くて切なくて耳からはなれない。
育児放棄がまた問題になってきている今、太平洋戦争に邁進していた本作製作当時をのこと考えると、再びそんな世の中に向かっているのではないか、と飛躍した心配までしてしまった。