けべん

僕のピアノコンチェルトのけべんのレビュー・感想・評価

僕のピアノコンチェルト(2006年製作の映画)
4.3
幼き頃から、セスナの操縦、ピアノの演奏、新聞や本を読み、何にでも興味を持ちそれができてしまう少年の話。
タイトルのヴィトスは主人公の男の子の名前、天才の子の幼き日の生き方・葛藤を描いている。

父は補聴器の技術者、祖父は家具の設計士・加工職人。母は仕事を辞めて専属のシッターになった。男は理解ある人らが多く、母がピアニストへの指導一辺倒な家系で育っていた。
この制約が物語に大きな意味を与えていた。教育や育児は、自由奔放すぎてもダメかもしれないし、縛りすぎたり期待しすぎるのもよくないのだろう。頭が良いというのは、その当人にとっても親にとっても難しいものなんだなぁ。

作品をオリジナル音声で聴いてる時、何語なんだろうと気になってた。作品はスイス発で、作中で言語を指定する(ドイツ語でいいよという)場面もあったことから、多言語が扱われる国なんだなとわかる。
スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語で、おそらくメインで話されてたのはスイス人の6割が母国語とするスイスドイツ語。これはドイツ語のスイス訛りみたいなものらしいが、ドイツ人はわからないらしい。まぁ日本語みたいなもんか。

作中では、テオを演じた子役2人は実際に演奏していた。特に12歳役の方はオーディションを勝ち上がっての配役とのようで、作品のピアノに対する力の入れ具合の凄さが伺える。
そのテオ本人も弱冠15歳で、すでにプロとして世界各国で数々のコンサートをこなしている天才ピアニスト。子役にすでにプロを使うとは珍しいなとも感じた。演奏がすごいわけだ

幼き頃に親からピアノをやれと言われた人は自分のことのように魅入ると思う。自信が親になった時、子供にどう接するか?それを多角的な視点で観ることができる作品。

個人的に評価が高い理由は、ところどころで笑える場面があるところ。意外にコミカルな要素を入れてるのも良かった