映画おじいさん

兵隊やくざの映画おじいさんのレビュー・感想・評価

兵隊やくざ(1965年製作の映画)
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オープニングタイトルバックの野ざらし死体から増村監督らしくて惹き込まれました。中盤で頭を撃ち抜かれた兵士の姿をはっきり撮っているところも悪趣味ではなく強い怒りというか反戦魂が感じられます。ただ骨が折れる音をはっきり聞かせるのは増村監督の趣味かも。翌年の『赤い天使』ではゴリゴリと骨をノコギリで切る音を聞かせているし。

世の中の流れで立場が上になってしまったインテリ田村高廣と、学はないけど機転で無茶が出来る部下の勝新太郎のバディもの。つまりインテリと荒くれの凸凹コンビ。他の映画でも見られるパターンの関係(このパターンの元祖映画はどれになるんだろう?)で、よく言われるBLなムードは私には微塵も感じられませんでした。

脚本は違う人とはいえ、東大出で留学経験もあるインテリ増村監督が、こんな仲間が欲しかった(or 欲しい)というキャラを勝新に演じてもらったのでは?と思いました。インテリの孤独。特にヘソ酒のくだりではそれを感じました。

しかし勝新(の役)に殺人の前科があるという設定は現在ではマズいでしょう。「殺す理由があった」という追い討ちをかけるような台詞までもあって、いかなる理由でも殺しちゃダメ!と独りごちました。