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蝉しぐれのぉゅのレビュー・感想・評価

蝉しぐれ(2005年製作の映画)
3.8
2022年 鑑賞 22-32-03
藤沢周平先生による日本の同名時代小説を原作に、海坂藩を舞台に、政変に巻きこまれて父を失い、家禄を減らされた牧文四郎(十代目 松本幸四郎[当時は七代目 市川染五郎]さん/【少年期】石田卓也さん)の成長や、彼を慕う武家の娘との淡い恋を描いた、「オルゴール」「英二」「星めぐりの町」等の黒土三男監督・脚本による時代劇作品。

ー BS日テレの1月は!名作時代劇 藤沢周平先生篇 ー
藤沢先生の作品というだけで、期待してしまう昨今。今作も期待してもいいですか?黒土監督。

四季折々の風景が、丁寧かつ沢山詰め込まれている作品。緑、風、川、海、雪、月、花、夕焼け... あの坂のシーン好き。1度目に坂の上を向いた時には誰もいなくて... また2度目に坂の上を向いた時に...

剣の達人、昔から想いを寄せる女性、幼馴染の友、上から命令... 私の好きな藤沢先生の作品の好きなものが散りばめられている!今回のヒロインのふく(木村佳乃さん/【少女期】佐津川愛美さん)は、なんかとても悲しい運命を背負っている感じは、藤沢先生王道ヒロインを受け継いでいるが、全体的に登場シーンは少なく(中盤は登場シーンなし、言葉のみ)少女期の出演の方が多かったが、着物を掴んだシーンは、見もの!流石です。

“どうやら御家老は死んでゆく者の気持ちが推量られぬらしい 死にゆく者の気持ちとは... 死にゆく者の気持ちとは...”
文四郎の言葉がいいっ!心に刺さる、死にゆく者の気持ち、遺された者の気持ちを説いた、魂を込めた言葉と行動がいいっ!あのカラクリ人形は、御家老の気持ちを表していたのかもしれない。

まさか加藤武さんが?って思ったけど、とても良かった。そして、ふざけている印象が強い佐藤二朗さんの本気の素晴らしさ、安定の柄本明さん、小倉久寛さん、原田美枝子さんの素晴らしさ、それ以大滝秀治さんも印象強いし、「こんな真昼間に...」の言葉も考えさせらた!個人的には、出演シーンも少ないが、あのシーンだけで、ギュッと持っていかれた緒形拳さんがとても良かった!あと、今田耕司さん、ふかわりょうさんも、松本幸四郎さんと同級生に見える演技(2人はお笑い芸人が本職なので、ここを重要視していたため)で、しっかりと文四郎を支えるいい友だった!ここだけの話、夜の橋のシーンはウルっときた!ラストのシーンも来るものがあったし、「やっとだ...」という気持ちにもなった。

ただ、悔やまれるのが...













文四郎の父の罪を語るシーンは、周りに聞こえないように戸を閉めたのに対し、文四郎の父の死なせた黒幕の名前を口に出すシーンは、窓を開けている!いくら子ども同士、雨降りといえど、誰が聞いているかもしれないのに、そんなバレてはいけないことを窓を開け、外に向かって言う?そこは、めっちゃめっちゃハラハラしたし、爪甘過ぎ!最悪あなた方も処刑されまっせっ!ここは勿体なく感じた。本当にここさえなければ...
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