しき

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃のしきのレビュー・感想・評価

4.6
正直この歳まできちんとゴジラを観たことがなく、「ゴジラには善と悪のゴジラがいる」、「ゴジラは核兵器を持った人間へのアンチテーゼである」といった浅はかな知識量のみで鑑賞した。

しかしこの作品、昔ウルトラマンや仮面ライダーなどの特撮作品のVHSを毎週借りに行っていた頃の俺の中の眠っていた5歳児を目覚め起こすには十分すぎるものだった。

そしてゴジラの悪の面の魅力をこれでもかというぐらい叩き込まれた。
俺たちがよく知っている日常。その中の立ち並ぶビルがなぎ倒されたり、コンクリートの地面が割れ裂け、都市が炎と煙に包まれる非日常さと絶望感が堪らなく好き。

心を掴まれたといえば、開幕3分半頃の爆音でのタイトルインは超テンション上がった。
自然と「おっ!お!お!おおおーー!!!」と声に出ていた。

熱くなる展開も多々あり、小さなバラゴンが巨大なゴジラに逃げずに立ち向かうところや、モスラがギドラを庇ってゴジラの熱線を受けるシーン、書き起こすだけでもまだまだある。

好きなのがゴジラの日本襲撃から50年の年月が経ち、人々がその恐怖を忘れているというところ。
若者の「ゴジラをペットにして飼えばよかったのにー」や、バラゴンが現れた時に逃げずにまず記念写真を撮ろうとする描写。
怪獣が出現するなんて夢にも思っていない現実世界の我々の生き写しをさり気なく描いていると思うととても意味深に思える。

お父さんの終盤のシーンで不覚にも涙してしまった…
まさかゴジラで泣かされるとは思っていなかったので余計に泣けた。

そして最後のゴジラの心臓が映されるところで、ゴジラがいつまでも在り続け、人間が核を持った消えない歴史、ゴジラの存在意義を考えると、あまりに大きすぎる遺恨としてずっと残るのだろうとゴジラ素人なりに感じた。

正直最初の鑑賞で的確な考察とか批評は俺には難しいけれど、純粋にこの作品を楽しむこと、熱くなれることは十分に出来たので、この先もゴジラ映画の中で俺的トップクラスの一作として在り続けると思う。
しき

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