彼は人魚に会えただろうか。
「上がって来る理由が見つからないから」っていうジャックのセリフがずっと頭にこびりついている。重くて、切なくて、でも彼をすごく表しているようで、絶望なのか諦念なのか、とにかくよくわからない気持ちになった。
彼らが魅せられる海の世界に私は到達できないし、彼らのあの終わりに理解もできない。でも、海と対峙する姿に、イルカと無垢に泳ぐ姿に、恐怖も感じつつ、同時にその崇高さ、美に強く強く魅せられたのは事実である。ジョアンナのことを思うと辛い。ジャックの“そういうところ”に惹かれていたとも感じられるから余計に辛いのである。
ジャックの、ジャン=マルク・バールの微笑みに綻んだし、涙も出た。