Jeffrey

アタメのJeffreyのレビュー・感想・評価

アタメ(1989年製作の映画)
2.8
「アタメ」

冒頭、精神病院を出たばかりの23歳の男。普通に生きようとする彼は元恋人に出会う。元娼婦の監禁、撮影現場、お芝居、結婚の決意、アパート、強引な求愛、ドライブ。今、過激な監禁生活が始まる…本作は1990年にペドロ・アルモドバルが監督したロマンティックコメディーで、この度BDが発売され再鑑賞したが面白い。主演はアントニオ・バンデラスで、原題名は私を縛って…と際どくアルモドバルらしいと言うかスペイン映画らしいと言うか、破廉恥でセンセーショナルな作品である。米国では確かX指定を受けている。

さて、精神病院を出たばかりの23歳のリッキーは、これからは普通人として生きていこうと結婚を決意する。早速彼が目をつけたのは、かつて一夜を共にしたことのある元娼婦のポルノ女優マリーナだった。しかしその求愛の仕方は強引かつ一方的なもので、勝手にマリーナの撮影現場やアパートに乗り込んできたリッキーにマリーナは困惑するが、ついに力ずくでベッドに縛りつけられ、監禁されてしまう。最初は単なる被害者だったマリーナだが、次第にリッキーに対して奇妙な感じを覚えていくのだった…と簡単に説明するとこんな感じで、バンデラスとアヴリルが初共演し、過激なセンセーションを巻き起こした監督の問題作である。この監督ブニュエルに影響受けているのかもしれない。

いゃ〜、アルモドバルと言えば赤、黄色もしくはオレンジこの3色が基本ベースに美術がなされていて、本作は強烈に赤の印象が強かった。アントニオバンデラスはもはやアルモドバルの分身かもしれないほど彼の思いをそのまま受けているような感じがする。本作のバンデラスの芝居は素晴らしく、印象深い。それから冒頭に流れる音楽も素晴らしく、公開当時のスペインの国内映画として最大のヒットを記録したそうだ。全米公開時にはレイティングをめぐってアメリカ映画界を揺るがす事件にまで発展したらしい。本作の主演のヒロインを演じたビクトリア・アブリルは顔の骨格、輪郭などが美しく、まさに監督のミューズの1人だろう。それにしてもバックステージを映すのが好きな監督だなと思った。

しかし22歳のバンデラスを起用した「セクシリア」から数本の映画を共にアルモドバルと関わってきた蜜月時代も続いたが、本作を持って2011年の「私が、生きる肌」まで全く関わらなかったのが不思議である。バンデラスがそもそもハリウッドへと進出してスターになったのが理由の1つだと思われるが…。ここ最近レンタルショップに行ってないためまだ見れてないのだが、アルモドバルの最新作(2019年)の映画で確かカンヌ国際映画祭で主演男優賞を59歳にして受賞して確か初めてオスカーにもノミネートされたバンデラスの渾身の芝居を見てみたい。近々借りに行こう。それにしてもこの作品のバンデラスの幼い顔つきに、男らしい肉体がギャップを生み、女性の心をくすぐるだろう。
Jeffrey

Jeffrey