食パン

幻の湖の食パンのレビュー・感想・評価

幻の湖(1982年製作の映画)
4.8
ずっと気になっていた作品でようやく見ることができた。

日本一大きな湖・琵琶湖をめぐる映画である。私は琵琶湖には行ったことがないので湖の周囲の自然や街の風景なども興味深く見れた。巨大な水たまりのような湖のほとりにソープランドの建物がごちゃごちゃ密集している光景は「千と千尋の神隠し」みたいで幻想的だと思った(80年代初めの作品で今ではだいぶ様子が変わってしまっているかも知れないが)。

外国の情報機関職員と思われるローザという女性がソープランドで客を取っていたのはなぜなのか? おそらく何らかの調査目的だったと思われるがはっきりした説明なく謎のまま終わるのも幻想的で良い。

劇中では宇宙物理学の研究者が、琵琶湖は長い時間が経てば跡形もなく消えてしまう存在なのだと語る。どれだけ巨大に見えてもいつか儚く消えてしまう幻の湖なのだろう。物語はどこに向かって進んでいるのかよくわからないまま、恋愛、サスペンス、時代劇、宇宙と時空を超えて私を連れ回し、見終わってみると2時間半以上にわたって幻を見せられていたような不思議な印象を残した。
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