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拳銃魔のtakamaruのレビュー・感想・評価

拳銃魔(1949年製作の映画)
4.5
拳銃の魅力にとりつかれているが、決して生き物だけは撃つことができないバート(ジョン・ドール)が、拳銃の名手アニー(ペーギー・カミンズ)と出会うことで、破滅的な人生に身を堕としていく。二人とも拳銃に魅せられているのは同じなのだけど、男は愛玩するものとしての拳銃に愛着があるだけで、一方、女は悪の手段として拳銃を使うことにまったくためらいがない。この違いがそのまま二人の支配関係に働いていて、少年のような心のバートは、完全にアニーの意志に行動を操られてしまう。アニーを演じたペギー・カミンズには、この女になら人生を狂わされても仕方がないなと思わされる悪の魅力が溢れている。銃を撃つときの陶酔したような表情や、車での逃走中にバートに警官を「撃て、殺せ」と叫ぶ邪悪な顔がたまらない。衣装も、伝説的な強盗シーンの長回しも素晴らしい。ファーストショットからラストシーンまで、映像にまったくゆるんだところがない。偏愛したくなってしまう映画だ。
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