拳銃魔の作品情報・感想・評価

「拳銃魔」に投稿された感想・評価

遠慮する事なく、これは拳銃社会(または軍国主義)を憂えた作品なんだと言わせてもらおう。
説教臭いところがいいのだ。馬鹿ばっかりやってるんだから、説教してやるしかないんだよ!
1949年作品。動画配信サイトにて鑑賞。無字幕。

スゲーーーーーーーーー。
なんだコレ。まんま60年代のゴダールじゃねえか。

いわゆるボニーとクライド・パターンの「ゲッタウェイ(犯罪逃走劇)もの」の先駆け的な一篇なんだけど、冒頭、主人公の少年時代、土砂降りの中、銃砲店の銃を盗むエピソードから頭の上に「!」が浮かびっぱなし。んで、こいつが大人になるんだけど「は?」っていうぐらいのボンクラで、とても犯罪者には向いてない感じ。銃の腕前はプロ並なんだけど、子供の頃ヒヨコを誤射(?)した時のトラウマで生き物は絶対に撃たない。(ちなみにこのヒヨコを撃つシーンのモンタージュもスゲエ)んで、途中でサーカスの出し物みたいなとこでヒロインと出会うんだけど、これも「は?」っていうぐらいのブスで、「大丈夫?」って思うんだけど、この二人の関係が抜き差し難くなっていくにつれてどんどん魅力的になっていく。(俳優はジョン・ドール〜「ロープ」の二人のうちの一人〜とペギー・カミンズ)

基本、ストーリーは「強盗する」「逃げる」「隠れる」の繰り返しで、この手の映画の常套というか典型から大きく外れることはない。んだけど、一つ一つのショットの緊張感と次につながるショットの意外性で「映画的に」ひたすらスリリング。ロケやセット、撮影、演技、衣装、アクション全てが凄い。いや、もしかしたら普通なのかしれないけど、画面が常に躍動しているのは間違いない。

演出は、あんまりカットを割らない。しかも、冗長だったり、ダレるシーンは皆無。会話のシーンは、基本座って喋ってる2人を一方向から撮ってるだけ。んで、どっちかが立ったり歩いたりするタイミングでそのままカメラがトラッキングしたりする。もう、最近の(でもないが)下手クソな映画で下手クソな切り返しをしこたま見せられてうんざりしてるので、メチャクチャ新鮮だった。

また、最早伝説になってるが、4分半の全く強盗のシーンが無い強盗シーン(男が車を降り銀行に入る、車の中で女が待っている)が素晴らしい。その後のカーアクションも(多分)役者が運転してるのを後部座席からずーっと撮ってるので、メチャクチャ臨場感がある。

この映画何が凄いって、字幕無しでも8割方ストーリーが分かること。セリフがよく分かんなくても、何となく「アンタしっかりしなさいよ!」とか、「いや、どうしても出来ない!」とか、言ってることが画面全体から伝わってくる。

単調になりがちなお話の中で、アクセントになっているのが、男は強盗の時も人は撃たない主義なのに対し、女の方は、頭に血が上るとすぐに人を撃ってしまうこと。

ここも、あんまり内面的には追及しない。あくまで、そういう人っていう描写にとどめていて、そこがイイ感じ。

ゴダール風に言うと「強盗は強盗をし、殺人者は殺人をし、密告者は密告する。」っていう「映画主義」に貫かれてる。

迷うことなく、オールタイムベスト入り。
ryosuke

ryosukeの感想・評価

3.9
この時代のB級映画は現代映画が失ってしまった速さがあってよいな。
かねがね作品名は聞いていたのでどれだけの傑作かと身構えていたが、思ったよりはサラッとした作品。当然良作ではある。
王冠に火を付けるシーンは背後から映すことで単に外したのか体に誤射したのか分からなくなり、サスペンスを生み出している。割れた鏡に映る自分を見て雇い主が敗北を一瞬で悟る演出も切れ味がある。
「気狂いピエロ」が変形させて引用していたUターンからのキスが素敵。
後部座席からの長回しについては「夜の人々」にも似たようなショットがあったな。あまりに自然でどっかでカット割ったか?と思うほど。
本作のファム・ファタールは謎めいた女ではなく序盤から思いっきり悪女で、主人公をぐんぐん破滅へと引っ張っていく。思えば最初の勝負のシーンのヒロインが一番美しかったな。
人を殺さないという主人公唯一の信念は、親友を守るためにヒロインを撃つことで破られる。
やま

やまの感想・評価

-
拳銃が好きで好きでたまらない少年が大人になって恋した話。

冒頭がめちゃくちゃイカしてる。転がった先にいる男の感じとか。


物語は「暗黒街の弾痕」であったり「夜の人々」に似たような感じであり、特筆することない感じ。もちろん面白いが。

せっかく強い二人組なのだからもっと活かしても良かった気もしなくもないけど。強さを活かせない主人公の性格もこの物語を支えているそんな印象。


誰か観ても思うだろうけれど、カメラの動きが計算尽くされている。人物が店から出てきて、車に乗るまでのぴったり収まる感じも好きだけど、運転シーンの後ろを振り返る感じもいい。

何よりラストが良かった。霧ってええな。
SKE

SKEの感想・評価

4.5
巨費を投じた一大スペクタクルなどといったものは、この映画を前にして完全に視界から消えてしまうのではないか、とそんな恐怖すら感じた。
moku

mokuの感想・評価

4.7
やっぱ面白い!
有名な銀行強盗の長回し以外も見どころ満載。つーか冒頭からぐっと引き込まれるから。
ミラード・カウフマンの名前借りて実際ほぼ書いてるのは例のダルトン・トランボらしいけど、主人公の子供の頃から描いて、いわゆるボニー&クライドものになっていく…出会いから破滅までの、構成やキャラ設定とかホントに巧いよね。


<蓮實セレクション ハリウッド映画史講義@ シネマヴェーラ>

このレビューはネタバレを含みます

ボニー&クライドの変奏曲であり、ここでも男性能力の不能が強く暗喩される。
ラスト、恋人を撃つことで、遂に不能感は克服されるが、それと同時に死が訪れる。女性を銃弾に、男性を銃そのものに例えたセリフがあるが、銃弾は発射され、対象に到達した瞬間にその命を終える訳で、これも強く性行為をイメージさせる。
性的なイメージを強く振りまく映画であり、ヘイズコードがまだ残っていた時代のハリウッドらしい性的映画なのかもしれない。
拳銃魔というか銃キチガイというか。とにかくそんな感じで始まって、あとはもうゴダールというかんじ。有名な長回しのシーンのすごさがいまいちピンときてないのだが、銀行のなかを一切撮らないところがすごいのだろうか? とにかくすごいシーンだということです。ベイビー・ドライバーにも似たようなシーンがあった。車の中でしきりに後ろを気にするのはゴダールのジャンポールベルモントとアンナカリーナのやりとりを思い出させる。
主人公はただひたすら銃が好きなので、銃と弾薬の比喩で男女の関係を語ったりもする。
あまりにも早い展開のなかでふと挟まれるモノローグ風のセリフとか、ダンスホールでの歌とかが見どころ聴きどころだと思う。
大人になった同級生たちの服の感じが子どもの頃となんだか似てるのが律儀でおかしくて好感が持てる。その一方で姉は年をとらないパワープレイである。
ところでこの主人公、どこかリー・マーヴィンに似てない?
2回目。例の長回しはもはや置いて、最後の強盗のシーケンスの無駄の無さに目がいく。働いているという説明は、決行日を予感させるズボンの会話で示し、警官を登場させスリルを煽りつつ、退散するときはドアの開閉で警官を退けるショットを挟む等々無駄がない。冒頭の拳銃の盗みのガラス、雇い主に発砲した際の鏡、主人公が初めて人に向けて発砲(パトカーにだが)した際一瞬割れるリアガラスと、主人公がの立場が変わる瞬間にはガラスや鏡が割れる演出が出てくる。似たところだと拳銃を盗んだ後に転び雨に濡れ捕まる冒頭があるので、最後山に逃げる際転び川に濡れた時点で嫌な予感がしますよね。最後の霧のシーンは製作費の都合なのかなんなのかよくわかんないんだけど。
Mayashico

Mayashicoの感想・評価

4.5
別々の方向へと向かって行った2台の車が、それぞれU ターンし始めたところで涙腺が…。
変装した二人の眼鏡姿がかわいい。でも『夜の人々』の方が好きかな。
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