拳銃魔の作品情報・感想・評価

「拳銃魔」に投稿された感想・評価

おそらくこれを見る人のほとんどは『ハリウッド映画史講義』を読んで気になったからなんじゃないでしょうか笑 そしてそれに引っ張られる形で確かにこの「単純さ」はすごいな!と唸らされる。90分を一息で綴るスピード感に途切れない緊張感。そして結構ドラマとしてても良く出来てて切ない。映画制作のお手本ですね〜。

このレビューはネタバレを含みます

どうしても『暗黒街の弾痕』を思い出してしまう。霧の中にぽつんと野原がある風景はまさにあの世。最高のラストショット。
絶対に殺生しない銃の達人は最期には最愛の人を撃ってしまうという悲しい宿命に唸る。肉の貯蔵室を歩くカットいいね!
kyon

kyonの感想・評価

4.5
当時メジャースタジオ作品(A級)と同時上映された低予算の映画作品、B級映画の1つ。B級といってもA級映画に劣る、というわけではなく。低予算ゆえにいかに限られたショットの数の中で観客に物語を演出をもって伝えるか、監督の力量が試されるジャンルというわけです。

そう思うと、この『拳銃魔』は隙があまりないくらい完成度も高いし、作品としてかなり面白い!!

物語の設定からもう秀逸!!
幼少期から拳銃に魅せられているけど、殺生はしたくない青年、バードと、その拳銃の腕で自らの生計を立ててきた美女、ローリーのボーイ・ミーツ・ガール。

拳銃というアイテムをもって2人は出会うべくして出会い、またこの拳銃というアイテムゆえに不穏な展開を予想してゆく。


サーカスの催しで銃の腕試しをローリーとすることなるバード。
拳銃を両手にばんばんっと天井に打ちながら登場するローリー。
カットはバードの目線ゆえのローアングルから、つまり私たちはローリーに見下ろされる。そこに銃口を画面に向けるショット。

ああ、バードはもうこの時点で彼女に掴まれてしまったな、と笑

サーカスをクビになり、やがて生計のために拳銃の腕を用い、強盗を働くようになる。

ボニー&クライドものになっていくの、2人の結末は観客はわかってる、ゆえにこの結末を迎えるまでの逃避行が残像のように、儚いものとして感じる。


ボニー&クライドものとして面白いのは、ローリーのキャラクターが物語にかなり面白さを加えていて。殺生をしたくないバードに対し、ローリーは「お金のある生活をしたいの。貧乏暮らしは嫌。これまで見下してきた人たちを見返すのよ」って端的にばっさり。

このローリー、成り上がり根性、というかしたたかさを持っていて、自覚的に自らの魅力を使っているんだよね。

車を奪うためにおじさんにハニー・トラップ仕掛けるし、バードにも共犯関係を結ばせる。
ローリーにとってファッションは自らをフィクション化させるツール。本当の彼女は?みたいなくらいコロコロ雰囲気を変えて観客を誘惑する。


映画の中で同性が見ても、異性が見ても、快感を覚えるような女性像がここには仕込まれていて、このある種の毒っぽさが作品を面白くしてる!

ショット同士の偶然的な連なりも重要な気が。どんなに監督が構想を練り上げても、撮影は予想外のハプニングや奇跡が起こりがち。撮影自体は生ものだし。
バードとローリーが給料強盗して、逃げてるときとか、何回かつまづいたり、バック落としたりするんだけど、このどこまでが演技でどこまでが偶然なの!?みたいなショット、車の運転シーンとかも、映画の制作過程が浮かび上がるような連なりが、観客に与える衝撃や感動に繋がってる気がしてならない。


そしてバードの銃で殺生したくない(だからラストまで実質人を殺めてない)設定が、ローリーとの結末にぴたっとハマったときは、この脚本と演出、天才か!と思わずつっこみました笑
とてつもない大傑作。暗く退廃的なんだけど、どこか幻想的でロマンティック。演出、カット割り、話の語り口が非常にタイトで洗練されてて無駄な物が一切ない。顔のクローズアップはこういう風に使えという見本。車中からのワンカットでの強盗からの逃亡のシークエンスは驚嘆した。1940年代にこんな斬新な映像表現をすでにやっていたのかと。CG全盛の現代の映画表現がこの作品よりも一歩も進歩していないどころか、逆に退化してるのが何とも悲しくなる
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.0
特に車借りたひとに返して元の車に乗るとこオシャレ過ぎたし一旦車で別れてからやっぱりムリってなるとこキュン死する。
めちゃタイトで慌しい進行だけどお別れのキッスから初犯にジャンプするとことかもシビれる。
でも現代だったら少年期の時点で精神科案件だな。
メガネ萌え要素もデカい。
ガンクレイジーってタイトルからして好き。
ストーリーは『俺たちに明日はない』みたいな感じ。
『ビッグコンボ』でもそうだったけど、今回も同じく霧を使ったラストはめちゃくちゃかっこよかった。
逃走車内でハンドル状のわっかをにぎっているだけのように見えるおとこと寄り添うおんなの窮屈さと、ソーロングソーロングつっていったんわかれてもどるところは思いかえすだにぐっとくる。
傑作と評判のこの作品をようやく見ることができたのだけど、確かに俺たちに明日はないより20年近くも前にこんな先進的作品を作り出したのは凄い

拳銃狂いだけどトラウマのため殺生ができない主人公が女にも狂わされ破滅する様を、ウィリアム・ワイラーやフリッツ・ラング並みに卓越した語り口と洗練されたカット割で描く様は目を見張るものがあったが、それだけでなく黒い罠の冒頭並みに緊迫感のある長回しの強盗シーン等全体的に長回しを多めに使用したり車の疾走感をスピーディーなカメラワークで存分に出したりと挑戦的な演出も目立ち、90分感嘆しっぱなしだった

似たような題材の夜の人々よりこっちの方が断然好み

この監督は他の作品を見たことないのだけど、こんなずば抜けた作品を作った監督の映画ならもっと見てみたい
運命の映画。男と女が出会う最初のシーンで、ワンショットで、全てが決まってしまう。
mingo

mingoの感想・評価

4.1
あらすじ自体は運命的に出会った一組の男女が破滅への道をたどるという、よくある「ボニーとクライド」ものを代表する作品のひとつでありながら、後の「勝手にしやがれ」や「俺たちに明日はない」などに決定的な影響を及ぼした、フィルムノワールの伝説的名作。雨の中ショーウィンドウを割って拳銃を盗み出す冒頭のシーンからグッと引き込まれ、「遊星よりの物体X」のラッセルハーランが撮るつかの間の時間を必死でつなぐ犯罪的逢い引きのシーンの数々はまさに映画芸術。ちなみに蓮實重彦大先生的には「これを見てなきゃ映画などを志してはいけない」という重要な作品らしい。やっと映画館で鑑賞、、、無名の役者2人が醸し出すラストの悲哀は今でも余韻の残り香が身の回りを漂っている、、、傑作。
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