COZY922

エデンの東のCOZY922のレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
4.3
父親の愛に飢えた捻くれた息子を中心に、兄弟間の確執や親子愛を描いたドラマ。若くして亡くなったジェームスディーンの初主演作です。ジミーの、不良っぽいけど感情表現が下手なだけで不良になりきれない雰囲気や、普通にしていてもどことなく寂しげに見える眼差しはこの役にぴったり。まさに彼のための作品だと感じました。

たとえ、良かれと思ってのことであっても、愛情の1つの形であったとしても、親に価値観を押し付けられると抵抗したくなるもの。そしてもっと辛いのは兄弟と比べられること。

正直、前半はあまり話に乗れず、自分の価値観に合う生き方をする息子には温かく、そうでない息子の話には耳も傾けない父親像もあまり伝わってこなかったのですが、父親の誕生日の出来事で一気に印象が変わりました。あの時の父の態度と言動には胸が痛くなり、手段は適切ではなかったかもしれないけれど彼なりの愛情表現だったのにと思うとキャルの気持ちが手に取るようにわかりました。親子関係に限らず、1人1人の個性を認めること、相手の真意がどこにあるのかを理解することの重みを感じたシーンです。

名作と言われるだけあって記憶に残る1本になりましたが、唯一、双子の兄との関係だけが放ったらかしにされてしまって心残りです。いけ好かない奴だけどそんなにひどいことをしたわけでもないし兄弟の関係の顛末も拾ってほしかった。
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