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グラン・トリノのvioletのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.5
クリントイーストウッドってとにかく重くてシリアスな作風のイメージだったけど、こういうのも撮るんだね〜。すごく好き。確かに深みのあるヒューマンドラマではあるんだけど、結構ユーモアがあって面白かった。主人公のじいさんが四六時中イラついててるのが最高。私の祖父もなかなかの堅物で気難し屋だけど比じゃなかった(笑)

愛犬以外はみんな敵だし、口を開けば差別用語だし… 「ひどい悪口だけど、まあ面と向かって言ってるからまだいいか」と、見てるこっち側もだんだん感覚麻痺を起こしちゃうし、もはやこいつにならyellow monkeyだのJapだのと罵られても笑って流せちゃいそう。

「男らしさを教えてやる!」のくだりが本当に馬鹿馬鹿しくてうんざり(男らしさとか女らしさとかいう価値観がまず古くて嫌い)しかし、これは単なるmasculinityアピール映画ではないと、最後に気づいて救われた。
彼が思い描いていたmanly manに、最後の行動はきっと当てはまらない。ただ自らの正義を表明することで、贖罪を果たしたまでなんだよな。男としてとかじゃなくて、あくまで1人の人間としての決断という感じがして、やられたな…

主題は「トラウマの克服」、「生き様と死に様」、「価値観の揺れ動き」といったところ。私は彼を軽蔑すると同時に、リスペクトもする。強さと誇りの象徴であったグラントリノの行く先が一番の見所です。
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