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機動警察パトレイバー2 the MovieのSYUのレビュー・感想・評価

4.0
2020/08/19
監督 押井 守
大林隆介
榊原良子
竹中直人
根津甚八

【特車二課、最後の戦い】

首都東京で発生した正体不明の戦闘機によるテロ事件を探る特車ニ課の両隊長が、国家権力の圧力や隠蔽に翻弄されながら、首都壊滅を防ぐためにかつての部下達と未曾有の国家危機に立ち向かう様を描く劇場版第2作。

すでにバラバラになった初代第二小隊の面々は脇役にまわり、今作は両隊長を主役に据え、誰もが楽しめる痛快なエンタテイメント作品であった前作から一気に赴きを変え、ポリティカルスリラー要素が強く、ハードでシリアスな作品となった。

しかし、これもまた押井守の真骨頂、万人には受け入れられないかもしれないが、映像から溢れでるなんとも言えない緊張感、重みのある深い台詞の数々が心に刺さる。



以下、軽くネタバレ





本作で一番驚いたのは、あの後藤隊長がついにその剃刀振りを露わにする終盤のシーン。
飄飄と、のらりくらりと素顔を見せずにきた彼が、
「だから遅すぎたといってるんだ!」と警察上層部に激昂する、このシーンはシリーズのファンには相当の衝撃であるとともに、屈指の名シーンだと思う。

後藤隊長も南雲隊長も、ひとつ間違えれば国家に敵対する一員となり得た過去を持ちながら、組織を信じ幾度となく国家の危機を救ってきたからこそ、変わらない上層部に愛想を尽かしてしまう様が悲しく、そして虚しく見える。

22年後に製作された実写版続編に直接繋がるエピソードであることから、押井監督の思いが見てとれる一本、個人的にも大好きで時々無性に見たくなります。

素晴らしい作品、
出来れば、実写版以降の本作に連なるエピソードを、何でもいいから見せて欲しいと切に願っています。

鑑賞日1993年 劇場にて
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