Sashiwo

フォーエヴァー・モーツアルトのSashiwoのレビュー・感想・評価

3.3
「90年代を駆け抜けるゴダールの傑作」というようにDVDの裏面では褒めちぎられていたし、カンヌ国際映画祭でもスタンディングオベーションとすごい映画なのだそうだけど、2015年に見たからだろうか。あまりビビッと(vivid)来なかった。リアルタイムでみていたら違っていたかもしれない。

リアリティーのない捕虜殺害のシーンが逆に生々しく淡々としていて、恐ろしかった。死を力を入れずに描くとこういうことになるのか。戦車が急に森の中から登場するのも嘘っぽくて変に気持ち悪い。世紀末に取られた世紀末映画か。

しかし、やはりあのラスト、モーツァルト、ピアノ協奏曲第27番で終わっていくラストシーンはやはり希望に向かって行っている。
たしかにムッシューゴダールは難しいことをする。デカルトの「我思うゆえに我あり」の再解釈など、ちょっととっつきづらいシーンもあるけど、きっと何かをつかむのに必要なステップなのだろう。もっと簡単にも撮れるのかもしれない。でも彼はそうしない。その厳しさのなかで優しい映画を作っている。
今回の作品は『アワーミュージック』(この邦題はあまり好きでない)と同じようにメッセージ性が強い。

とはいえやはり繰り返し見なくちゃね
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