COZY922

女はみんな生きているのCOZY922のレビュー・感想・評価

女はみんな生きている(2001年製作の映画)
3.5
The ダメンズ祭りなコメディ(^^;; 。

・妻のことは家政婦扱い、人命よりも血で汚れたフロントガラスを拭くほうが大事、老いた母親をうざがり尋ねてきても居留守を使う。
・父親同様、母親を家政婦扱いする息子、彼女がいるのに浮気、おまけに一晩のうちに二股、大学の授業もサボりがち。
・結納金目当てにアフリカに娘を”売る”父親。
・貧しい女性を釣り、ヘロインをうち売春をさせて稼ぐ組織の男達。

ここまで徹底したダメダメぶりは完全に漫画(笑)。対する女性の『自分らしさの覚醒』とタフネス、男性へのリベンジも現実味が薄いほど突き抜けた部分がチラホラあるところを見ると、このキャラクター描写は意図して大袈裟にカリカチュアライズしたものですね。それが功を奏して、売春婦の過去など暗い内容があるにも関わらずそれを感じさせないコメディに仕上がってると思う。

物語は、平凡な主婦エレーヌがある夜、夫と車でディナーに向かう途中血まみれの女性に遭遇するという事件から始まる。事件をきっかけに目からウロコが落ちたかのように行動を起こすエレーヌ。

おもしろかったし痛快なんだけど、強いて言えば、男尊女卑を描くためのモチーフが、だらしない夫の世話でルーチンな日常を送る『専業主婦』と男性に身を売る『売春婦』というのが少々古臭いというかステレオタイプが過ぎるかな〜という気もする。風刺コメディとしてのわかりやすさを追求した結果だろうか。でも、リズミカルな音楽もあいまってテンポも良かったしキャストも皆 力演でした。

反旗を翻すようなストーリーが展開された後での、ラストの女達のあの表情。何かをやり遂げた後に生じるぽっかり穴があいた感じと、開き直ってやり遂げたからこその充足感と、一抹の寂しさとを足して3で割ったような微妙な表情だった。男性への『リベンジ』と書いたけれど、本当はリベンジがしたかったわけではない。彼女達が本当に欲しかったのは、事務的 差別的 画一的な関係からの脱却と、人間味と愛情に溢れたつながりだということを感じさせるラストだった。
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