れもなぎと恋を

女はみんな生きているのれもなぎと恋をのレビュー・感想・評価

女はみんな生きている(2001年製作の映画)
5.0
今まで見たフランス映画の中で一番好き。そんなにフランス映画見てないだろ、は置いといて、世界の女性に呼吸をさせるんだ。

私は「乙嫁語り」っていう漫画が好き。19世紀後半の中央アジアを描いていて、女の子は小さな頃から嫁入り道具の刺繍をし、結婚に備える。家族は総出で娘の嫁入りを準備する。婚約時には嫁の家は夫の家に持参金を渡す。今回の映画でいえば最悪な女性蔑視だが、この漫画は美しい。単純に絵も美しいし、女の子たちも美しい、物語もセリフも大好き。結婚を心待ちにする女の子たち、家のことをこなしつつも文字を見て心躍る女の子たち、悲しみを背負いながらも好きな人を慕う女子たち。この漫画が好き。

でも私は、この映画も好き。残酷ながら存在する、存在して消えない女の生きづらさの中、どうにかこうにか生きようとする彼女たちのビビッドな生命力には、思わず、手を上げ腕を上げ、力の限り愛を叫びたい。阿呆な男たちは力を持っている。それを嘆くには、私たちの目には力がありすぎるのだ。

女の子のことを結婚を利用して売る文化を美しく映画いた漫画と、それを拒んだ女性が死に物狂いで戦う映画。どちらの作品も好きなのは矛盾だろうか?条件だけ見れば、相対するものなのかもしれない。でも違う。どちらにも共通しているのは、女の子が生きてきたこと。その環境下で生き延びることに、力を注いで生きてきたことは、どちらの作品にもある揺るぎない根幹だと思う。私はどっちにも、血肉湧き立ち敬意を評して愛を叫びたい。

そう思うとこの邦題も悪くない。最初は全然日本カスタムされてて「おいおい」なんて思ってたけど、いい邦題だった。

明日も生きるぞ‼︎女の子に敬意を表さないどっかの馬鹿野郎には、お前なんか踏みつけて飛び出してやるって言うんだ。いつもどこでも女の子は戦っている、時代が違っても女の子は生き延びる、そして絶対に美しい朝日を楽しむんだ。瞳と髪が輝くまで、海辺の光まで生き延びてやる。