わち

HANA-BIのわちのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.5
完全に食わず嫌い状態だった北野武監督作をようやく鑑賞(99年の公開当時に『菊次郎の夏』を劇場で観ているので一応"初"ではない)。
最低限の台詞と語りすぎない映像の中でも不器用な男の愛情や後悔の念が垣間見える、これぞ映画といった作品で、鑑賞者が補完できる部分はきっちりと余白を作ってあるのが好みだった。僕が好まないタイプの「邦画」というのは、雰囲気だけで何を言いたいのか分からないか、勿体ぶったつくりなのに映像で十分伝わる部分をベタベタな台詞にして喋らせてしまうかのどちらかであることが多いが、本作はそのバランスが素晴らしかったと思う。個人的には『ゆれる』以来の感覚だった。
確かに北野武本人が描いたという絵の件など冗長に感じる場面はあるものの、いわゆる"キタノブルー"と呼ばれているらしい青に拘った映像や衣装の使い方は印象的で、特に雪上のシーンはため息が出るほど格好良くて美しいし、ストーリーも陳腐な表現をすれば悲劇でありながらもわかりやすい感動作になっているので決して難しくて観にくい映画ではなかった。
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