タロウ

ミツバチのささやきのタロウのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
-
『The Sprit of the Beehive/ミツバチのささやき』


「これまで持ってきた中でもこれは傑作だ!」と言って、おじさんたちが持ってきたフランケンシュタイン、という映画。自分と同じくらいの女の子がフランケンシュタインと呼ばれる怪物とニコニコしながら話す様子にアナは釘付けになった。本当にあんな生き物がいるのかな?気になってしょうがないアナは、お姉ちゃんのイザベルにも尋ねてみる。「目を閉じて、私はここよって唱えるの。そしたら会えるんだよ」とお姉ちゃんは言うが、本当なのかな、、


 今まで見てきた映画の中で、一番難しい。間違いなく。つまらなかったという訳では決してないけれど、じゃあめちゃくちゃ面白かったのかというとそうとも言い難い。子どもたちが楽しそうに映画を見たり授業を受ける場面があったかと思えば、ピリッと空気が張り詰めるような緊迫感溢れる場面があったりと、感情の行き場があっち行ったりこっち行ったりで、加えてお話の展開がなかなか飲み込めなくて、進んでいくにつれて頭の中の?が増えていく、、そんな作品は初めてだった。と、とりあえずスコアはなしで、、

○物語(※ネタバレあり)
 話が進むにつれて、みんな口数が減っていったのは気のせい、、?表情とか仕草で見せるような場面が多かった印象がある。それもあってか、「これ今、この人はどんな気持ちなんだろう??」ってめっちゃ考えさせられる。アナが電車から飛び降りた男と出会ってから、一気に物語が進んだ印象だけれど、正直そこまでは静かに物語は進む。その分ちょっと面白味には欠けるかなと思ってしまった。ただその中でも、イザベルが、ネコにひっかかれてか噛まれてかで出た血を口紅のように、自身の唇に塗る演出は、なんだかオシャレに思えて強く印象に残ってる。イザベルの真意は分からないけれど、その行為は可愛くもあるし怖くもある。それは大人への憧れか、はたまたそれとは別の興味からか、、これまた見る者に考えさせる演出に魅力を感じた。(これ美女殺人鬼がやりそう笑)

 フランケンシュタイン=電車飛び降り男=得体の知れない存在って僕は捉えたけれど、監督はどういうものとして描いたんだろう。素性はどうあれ、相手を理解しようとする心を持つこと、そんな純粋な心を持ち続けることがやっぱり大事、とアナの行動を見て思わされた。今の時代どんどんそれは難しくなっている気もするが、意識するだけでも違うはず。

 「これどんな映画?」って聞かれたら、「終始、アナって子が愛おしい映画!」って答えたいくらい難しい映画だった。伏線がどうとかそういうものでもないと思うし、これはいろんな人の意見が聞きたい。そういう意味ではたくさんの人に見てほしい!けれどオススメしづらい、、笑
タロウ

タロウ