ともたろう

ミツバチのささやきのともたろうのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.5
-昔むかし… 1940年頃、カスティーリャの、ある村での事-
ヴィクトル・エリセの初監督作品はスペインの田舎町の家族の再生の寓話。

内戦終結直後であり、長い独裁政権の始まる時代。
家族の関係性や外の世界との関わり、ミツバチの生態などに監督のメッセージが見え隠れする。
時代背景の知識がないと難解な部分があると思うけど、映像はきれいだし子供たちはかわいいし、それだけでも十分魅力的。

このエリセ監督は兵役中に溝口健二監督の「山椒大夫」を観たことで映画の世界に入った人。
元恋人への手紙を出しに出かけた母親が長い道を自転車で向かい、駅舎を抜け、やがて到着する郵便貨車付きの列車の蒸気の中に消えていくシーンは溜息が出る。

「目を覚まして現実を見なさい。」
ともたろう

ともたろう