味噌汁

青い春の味噌汁のレビュー・感想・評価

青い春(2001年製作の映画)
2.5
 子供として許されるのは未成年、あるいは学生と呼ばれる期間だけ。大学進学率が今よりも低かった当時は、高校生が子供と大人を分ける境界線になっていたんだろう。まぁ学生服を着用して決められた授業を受ける経験は高校が最後になる訳で、幼さに区切りをつけるひとつの着地点ではある。学生生活を満喫している、いや閉塞的な環境で充実感を得る者にとっては高校3年生ってのが人生の岐路であり、終わりだと思う。自分が生きてきた事の輝きを証明するために内に秘める暴力性を解放する彼らの気持ちは、今となっては少し分からなくもない。現実世界のヤンキーなる人種は苦手だけど、がむしゃらに生きる事を実感したいと願う創作世界の彼らは憧れと読んでも相違なし。

 カラスに黒猫に死神に、黒って色は不吉なモノを連想させる。喪服だってそう。暗闇を恐れてきた人間にとって逃れられない色。学生時代は不思議に思わなかったけど、僕らが毎日着ていた学ランもそういう不吉さを纏っていたのかも。精神的に最も脆い思春期の黒さが服や校舎の落書き、九條と青木が描く人型の影に反映されている。

 松田龍平氏演じる九條の冷めたギラつきと、新井浩文氏演じる青木のtheヤンキーなオラつきが対照的で面白い。互いに惹かれあっているからこその嫉妬とか、死生観とかそういうものがミッシェルの楽曲を拝啓に描かれる。雰囲気映画な気がしなくもないけど、青春時代のアツさと虚しさを思い返してしまうような映画。
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