H4Y4T0

狼たちの午後のH4Y4T0のレビュー・感想・評価

狼たちの午後(1975年製作の映画)
4.0
社会派映画監督シドニー・ルメット作品鑑賞3作目。
1972年にニューヨークで実際に発生した銀行強盗事件を題材に製作された映画。
主演は同監督作品『セルピコ』で主人公フランク・セルピコを演じた俳優アル・パチーノ。
何の因果か本作では“犯罪者サイド”を演じるハメとなったが、高い演技力は健在。
また主演に選ばれた理由のひとつとして、「実在の銀行強盗犯に容姿が似ていたため」との説あり。

とにかく現場の“緊迫した空気”が、ひしひしと伝わって来る作品。
物語の舞台となったブルックリン区の小さな銀行で発生した「些細な」強盗事件をきっかけに、人質・警察・身内、果てはマスコミまで巻き込んだ大大騒動に発展するとは、全くの予想外だった。

オープニングは緩い感じで、何これコメディ?と錯覚してしまう程。
主犯格ソニーとどこか間の抜けた相棒サルとのやりとりから察するに、2人は根っからの悪人という訳ではなさそうだと思った。
群衆(野次馬)との謎の一体感、何故かフレンドリーな人質たち。ほとんどが出演者たちのアドリブだったらしい。
シュールな状況に暫し困惑。
ところが事態は急速展開、益々悪化する現場。『踊る大捜査線』のあの名台詞を思い出す。
一触即発の緊張感が漂う中で、一人また一人と徐々に人質が解放されていくが・・・。

人間の精神状態が徐々に崩壊していく描写がエグい、エグすぎる。
追い詰められた人間が取る行動は、どうしてこうも予測不可能なのか。
窮地に立たされて始めて気付くことや、人生最大のピンチをどう切り抜けるかで真の人間性が問われるのだろう。銀行強盗ダメ絶対。
H4Y4T0

H4Y4T0