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エクソシストのtarmanのレビュー・感想・評価

エクソシスト(1973年製作の映画)
4.8
フリードキンの本気(っていうか狂気)が生み出した、オカルト・ホラーの金字塔。ドキュメンタリー出身らしいリアリズムに則った画作りと、妥協を許さない演出はまさに伝説級。撮影現場にショットガンを持ち込み、突然ぶっ放すことで俳優の恐れ慄く表情を捉え、演技の素人であるダイアー神父(本物の神父を起用)に平手打ちを食らわせ迫真の演技を引き出し、悪魔祓いのシーンでは、息が白く見えるようクーラー四台をフル稼働させ極寒の現場を作り出した。また、当初『ダーティハリー』のラロ・シフリンが音楽担当だったが、用意したデモテープが気に入らないからと即刻解雇し、マイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」を採用したという逸話も(これ以上ない選曲!)。


ちなみに、有名なスパイダー・ウォークが見られるのは132分のディレクターズ・カット版。撮影当時、リーガンを吊ったワイヤーが画面に映り込んでいた為、本編では採用されなかったが、後年、CGでワイヤーを消すことにより復活。確かに見た目のインパクトは凄いが、明らかに前後の脈絡から浮いており、リーガンがバークを殺したのではないか?というサスペンスを台無しにしている。そもそも、ディレクターズ・カットと銘打ちながらも、実際は原作者のウィリアム・ピーター・ブラッティらによる要望で、公開時に削除されたいくつかのシーンを復活させるのが目的。当初フリードキンは「説明的すぎる」「映画を観ていれば分かるはず」と観客を信用して取り入れなかったという経緯があり、本来のディレクターズ・カットはやはり劇場公開版だと言えよう。
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