ハンダゴテゴテ

伝説巨神イデオン 発動篇のハンダゴテゴテのレビュー・感想・評価

伝説巨神イデオン 発動篇(1982年製作の映画)
4.4
何度見てもとんでもないフィルム。
名作、傑作というより鬼作と呼んだ方がいいかもしれない。
ミクロからマクロ、個人間や種族間に至るまで全ての人間の業が詰め込まれており、それらが巨大なる力(ある意味でデウス・エクス・マキナ的)によって消化され、新たな方向へと導かれていく。彼らもイデを構成する意識として、もしくは新たなイデ的存在になったのかもしれない。悍ましい呪いとも取れる。
そりゃ30代でこんな物作ってりゃカントクも鬱にもなるよ……
でも、それを経てブレンパワード、∀ガンダムみたいな「生きていく」ことにシフトしていく作品を作れるようになっていくことを考えると、富野作品というものは、富野由悠季という作家自体が魅力的であり、彼のパーソナリティと結びついているからこそ、この力があるのだなと感じる。
フィルム的にはエヴァがTV版や旧劇でやって大騒ぎされた展開(もしくは構造)を十年も前に先取りしている作品でもある。富野由悠季という監督はやはり「映画」を意識して作品を作っている作家だと再認識。
心を揺さぶれる力を持った作品である反面、定期的、繰り返し見たい作品かと言われると、鑑賞時にかなり体力を要するので悩んでしまう作品。人によってはかなり拒否反応も出ると思う。