是枝監督作品で上位の秀作。
どこにでもあるような一家の
ここにしかない人生の物語。
一家の感情の揺れや衝突が
観ていて非常に面白い。
緻密に構成された脚本と
樹木希林の演技はさすがで
日常生活の中に滲み出る不安感
小道具ひとつで
時の流れを巧みに操る是枝演出も
全て素晴らしかった。
あまりにもリアルで
観ているこちらも
自分たちの家族
両親の姿を重ねてしまう。
人生に修復は効かないし
亀裂の入った親子の関係も
二度と元には戻らない。
老いた人間は
若さを取り戻す事も出来ないし
失った物は二度と取り戻せない。
だからこそ息子(阿部寛)の
「いつもこうなんだちょっと間に合わないんだ」
というセリフが
この物語の全てを総じていて
自分の心にもグサッと刺さった。