SI

ファイナルファンタジーのSIのレビュー・感想・評価

ファイナルファンタジー(2001年製作の映画)
-
2019.4.2
自宅TVにて鑑賞

2001年当時、ゲーム会社スクウェアの坂口博信を中心として160億もの制作費をかけてつくられた世界初のフル3DCG映画であり、そして100億の赤字をたたき出した伝説的作品。
プロデューサーの方と御会いする機会に恵まれ鑑賞に至った。

『FFⅦ』『FFⅨ』のガイア理論(生命体だけでなく地球そのものにも巨大精神体ガイアが存在し、生命体の持つ精神体はこのガイアから誕生し、肉体が死ぬとその精神は再びガイアに還るという理論)は共有していながらも、脚本は完全オリジナル。
ファントムという目に見えず触れただけで人間を殺す謎の異星人に侵略され、バリアシティというコロニーでわずかに生き延びる人類を描く。主人公アキは老博士シドと共にファントムを完全に消滅させる方法を仮説立て静かに遂行していく。

現在の日本の邦画の制作費が数億程度であるから、160億という費用がいかに破格か分かる。しかしいまや3DCG全盛の時代であり日本の技術が完全にアメリカから遅れていることから、坂口氏の投資の読みは正しかったといえよう。問題はそれがあまりに売れなかったことだ。2001年、少なくとも日本はCG技術の最先端にいた。

この映画は観ているとゲームであれば良くできたプロットだったのだろうと感じる。どの場面も山場がきちんとあるし、ストーリー展開も綺麗だし、ただ映画はやはりゲームと比較するとそこに能動性がないのであって、もっともっと練られたプロットでなければ世界で160億をリクープするのは難しいということだろう。CG技術はいまみてもそれなりに綺麗だが流石に時代が経ちすぎている。当時どの程度感動できるものだったかは分からない。

主人公アキのキャラクター造形は『FFX』のユウナに似て素晴らしくて、黒歴史として封じられてしまったのが勿体ない。
『Final Fantasy』シリーズは日本が世界に誇るコンテンツであって、その映画化というものは今でももっと真剣に考えられて良いはずだが…
SI

SI